【インタビュー】「水素対応の高効率コージェネで熱需要の高い顧客に訴求」 ヤンマーエネルギーシステム 海外推進部・営業部・熱電営業グループ 山田 麟太郎氏

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⑥「アジア太平洋水素サミット&展示会」出展者に聞く

ヤンマーエネルギーシステムの山田麟太郎氏(左)と、ヤンマーエネルギー・オーストラリアのグレン・ロールストン氏

 水素エネルギー社会に資する取り組みやイノベーションについて、「アジア太平洋水素サミット&展示会」に出展した福岡県の産官学の関係者に話を聞いた。(聞き手:ジャーナリスト・守屋太郎)

守屋:ヤンマーエネルギーシステムは、どのような商品を手がけているのですか?

山田氏:ヤンマー創業の原点である発動機、エンジンの強みを生かし、ガスによる発電と同時に排熱を有効利用する高効率の「コージェネレーションシステム」をはじめ、ガスエンジンによる冷暖房システム、非常用電源システムなどを製造、販売しています。

 今回、オーストラリアでは、ドイツにある子会社「RMB」の「ネオタワー」(neoTOWER)と、チェコ拠点の子会社「テドム」(TEDOM)の2つのコージェネシステムを紹介しました。

 燃焼効率が最大80%以上と省エネ性能がきわめて高いことが最大の特長です。燃料を柔軟に選べることも、脱炭素を進める上で現実的なソリューションになります。

 RMB社のネオタワーは、「専焼」、つまり100%水素を燃やして発電と熱の利用ができるほか、都市ガスやバイオガスと水素をミックスした「混焼」もできるシステムとなっています。また、テドムのシステムは、従来型のガスに水素を20%混ぜて使用することが可能で、メガワット以上の大規模発電にも対応しています。

守屋:こうしたコージェネシステムは、どんな場所に導入されているのでしょうか?

山田氏:多くの熱や湯を頻繁に使う工場やホテル、病院といった事業者さんの需要が大きいですね。加えて、近年は「分散型電源」として、現地で発電し、現地で消費するニーズが高まっており、メガワット級の大型設備への関心も強まっています。

守屋:水素エネルギー社会の将来をどのように見据えていますか?

山田氏:エンジンのメーカーである私たちとしては、インフラ面などの課題を認識しつつも、有力な次世代燃料の1つとして水素に着目しています。いざエネルギーの転換が起きた時に対応できるように、商品ラインナップを充実させていきます。

 今回の展示会では、将来性のある燃料として水素を前向きに捉えている来場者も多いと感じました。私たちとしては、そうした顧客の要望に応えるために、より敏速なビジネス展開を図っていきたいと考えています。

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