サンシャイン・コーストでプレーする無もなき選手 野性味あふれるプレーと実直な人間性の「好漢」に迫る/日豪フットボール新時代 第162回

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あふれる気合で道を切り開いてきた髙石(Photo:本人提供)

「本当に僕なんかで大丈夫ですか」。今回取り上げた髙石太一(26/ヌーサ・ライオンズ)に当稿の話を振ると、刹那、この問いが戻ってきた。本人がそう聞きたくなるのも分かる。髙石は、州トップ・リーグのNPLでのプレー経験もなければ、渡豪前の球歴に特筆すべきものがあるわけでもない、言わば、どこにでもいる標準的な選手。

 豪州の地で、ボールを追う選手たちの属性やバックグラウンドなどはさまざま。常日頃から華やかに活躍する選手ばかりではなく、この地で泥臭く努力を続ける選手たちにも光を当てたいと思ってきたが、いざ、それを実行しようと思った時、筆者の頭にいの一番で浮かんだのが髙石の無骨な顔だった。現在、サンシャイン・コースト地区のFQPL3(州3部)でプレーする無名選手をなぜ──。その答えは、そのひたむきな人間性。

 髙石との出会いは数年前にさかのぼる。当時、愚息が所属するFQPL3クラブのトップ・チームの試合観戦に訪れた際、ピッチ上の4人の日本人選手の中で、長髪に黒の大きなヘア・バンドをした選手に目が留まった。正直、プレーの巧さだけなら他より劣るも、体格差がある相手にもひるまずどんどん向かっていき、削られても立ち上がるガッツ。そんな気迫あふれるプレーが仇(あだ)になって試合はケガで途中交代したものの、後には強烈なインパクトが残った。

 試合後、日本人と分かったらしく一面識もない筆者にわざわざあいさつに来た。その後しばらくは没交渉だったが、数週間後に近所のスーパーでばったり。立ち話ながら結構長く話した。その後だったはずだ、メッセンジャーに折に触れて連絡が来るようになったのは。

 ある時、「note、始めました」というので、さっそくのぞいてみた。まだまだ拙い文章ながら自分の経験を一所懸命に後に続く選手に伝えようとする姿勢に好感を持った。サンシャイン・コーストからブリスベンに来る度、「話を聞かせてください」と連絡が来るのだが、なかなかタイミングが合わないでいる。それでも、筆者にしてみれば、定期的に連絡を寄越す若い選手がいるのはうれしいものだ。

 言うまでもなく、フットボーラーの質はプレーの巧拙だけでは測れない。やはり、人間性の深みやアピールがあってこそ。だからこそ、髙石のひたむきでどこまでも実直な人間性は、彼自身の豪州での渡世の大きな助けとなっているはず。いみじくもその名前が表すように、彼のような好漢は太くブレない一貫性を持った人生を歩んでいくはず。次こそ必ず、会って話さなければだな。

植松久隆(タカ植松)

タカの呟き「メルボルンVがシーズン半ばで日本人選手を2人獲得。これで今季のAリーグの日本人選手総数は7人となった。その中でも、昨年の新設クラブの主将の役割を全うし、今季2年目の酒井宏樹はさすがの存在感。ブリスベンでのオークランド戦の観戦は、今回も他と被って行けず仕舞い。早く実現させたい」





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