クイーンズランド州の釣り情報 第168回
オーストラリアン・バスの釣り
オーストラリア原産のオーストラリアン・バス(以下、オージーバス)はオーストラリア東海岸の広い範囲にわたって生息しています。下流の汽水域で産卵するため、ダム湖や貯水池などの閉ざされた水域には生息していませんでしたが、オーストラリアの水産庁は、リクリエーション目的のためにこのオージーバスやイエローパーチと呼ばれるバスの仲間、そして一部の地域ではバラムンディやサラトガ(アロワナ)などの稚魚を放流しました。
海とつながっている川などに生息している本来の原生バスは、厳しい自然環境の中でそれほど大型に育ちませんが、止水域に放流されたバスは産卵できないため卵は脂肪となって太り、豊富な餌にも恵まれ大型化していきます。
クイーンズランド(QLD)州では60以上の場所で同様に放流事業が行われています。放流された場所での釣りには釣りライセンス「Stocked Impoundment Permit Scheme(SIPS) permit」(週10豪ドル、年50豪ドル)をオンラインで事前購入しなければなりません。ちなみにQLD州での現在の遊漁規定ではオージーバスは30センチ以上を5匹(放流していない場所では2匹)までとなっています。
ブリスベンやゴールドコースト、サンシャイン・コーストにはオージーバスなどが放流されているダム湖が点在しており、陸釣りや、カヤックやボート(ボート禁止の場所もあり)から手軽に狙えます。ダム湖のバスは日中は水深がある沖で餌の群れを追っていることが多く、カヤックやボートが有利になり、朝夕などには岸際に寄って来る餌を狙うので陸釣りが有利になります。スピナーベイトと呼ばれるルアーを沖に向かってキャストして底近くまで沈め、ゆっくりリールを巻き、ヒットしなければ少し移動してまたキャストするという繰り返しの釣り方が一般的のようです。
湖畔には毒蛇や昆虫などの野生動物もいますので、陸釣りではウエイダーや長靴などを着用することをお薦めします。
このコラムの著者
フィッシング・ライター:金園 泰秀
東京のIT関連会社のシドニー駐在中、オーストラリアの大自然に魅せられ役員職のサラリーマンから一転スピンアウトし、子供の頃からの趣味だった釣り
業界の世界に飛び込み、日本の釣り技術の紹介や当地の釣りを全世界に発信してきた。現在は趣味としての釣りやセーリングも楽しんでいる。