福島先生の人生日々勉強
こまめに心のリセットを
生きるのがしんどいなあと思う人は真面目で賢い人です。良い人で才能もたくさんあったりもするのですが、本人曰く、良いことなんて1つもない。生きていても全然楽しくないし、生きる気力もあまりない。
そのような感覚を持っている人は悩みます。いったいどうしてこんなにしんどい人生なのだろうと。遺伝子が悪い、育った環境が悪い、それとも、努力が足りないのかと。
しかしその悩みには、実はもっと根本的な原因があります。自分の存在を否定しているのです。「自分なんていない方がいい」と。この感覚を自覚している人もいますが、無自覚の人も少なくありません。考えてしまうとあまりにも恐ろしいので、考えないように心の奥深くにしまってあるのです。
まず、理解しておきたいことは、「命はそこにあるだけで無限の価値がある」ということ。なぜなら、1つの例外もなく全ての命が、果てしなくつながる命の連鎖の本質だからです。
自分の命1つくらいと思うなかれ、森羅万象全ての現象にはあらゆる存在物一切との因果関係があるのです。
自分の存在そのものをありがたい宇宙の現象の1つとして受け入れ、利己を手放してみれば、目の前にある事象など取るに足らないと気付かされ、心が豊かになります。
美しい自然に触れると心が浄化されるのも、自然に還る感覚、宇宙の一部であるという感覚に救われるからなのかもしれません。
生まれてから今日まで、私たちは皆誰かに褒められたり、叱られたりして何らかの評価を受けながら暮らしています。それらの経験のうち、不評だったものの方がより鮮明に記憶に残ります。感情に基づき自分にとって危険な情報だと認知した脳が、同じ危険を冒さないようにとあえて記憶を鮮明に残すのです。
まるでアレルギー反応のようですね。アレルギーの原因は取り除くべきなのかもしれませんが、発疹などの面倒な症状が実は危険に気付かせるための方法に過ぎないと考えると、自己否定することがいかに無意味かということが分かります。
疲れたら、いつもと違う景色を眺める、小説を読む、歌う、踊る、何でもいいので目の前にある仕事から離れてみてください。またすぐに元の場所に戻るとしても、時々は思い込みを振り落とし、心をリセットするというのが大事なのです。
このコラムの著者
教育専門家 福島 摂子
教育相談及び、海外帰国子女指導を主に手掛ける。1992年に来豪。社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命とした私塾『福島塾』を開き、シドニーを中心に指導を行う。2005年より拠点を日本へ移し、広く国内外の教育指導を行い、オーストラリア在住者への情報提供やカウンセリング指導も継続中。