福島先生の人生日々勉強
すてきな未来
いつの時代にあっても災禍は避けて通れないものですが、良くなったかと思えば悪化し、あちらが正解かと思えばこちらの方がましだったというように、世の中、結局のところ、先のことは完全には読めません。人工知能が発達し、スーパーコンピュータの性能の向上と共に予測精度が上がってきているとは言え、たった1秒後の世界でさえ完全に正確に知ることはできないというのが現在の科学の知見です。非常に極微な世界において、物事の現在の状態とこの先の成り行きは確率でしか予測することができません。故に、未来を完全に予知することは原理的に不可能なのです。
私たちは感覚的にこの世が無常であることを知っています。もしもスケジュール通りに人生が進んでいくだけなら、無常観は育ちません。人生は思い通りにならず、予想外のことが起こるから無常なのであり、無常と対峙する中でそれぞれの人生観に個性が生まれていくのです。
今日があるように明日もあるものと暮らしていますが、本当は約束された明日などというものはどこにも存在しません。未来は未定です。嫌なことが起こるかもしれませんし、良いことがあるかもしれません。特に何も起こらずに過ぎるかもしれません。
この、予測不能な未来、無常であるという事実は、日常に満足している人にとってはどうということのない概念でしょう。しかし、今の生活に満足していない人、変革したいと思っている人にとっては、応援メッセージでもあります。頑張れば現状を変えることができるかもしれない、良い方向に向かうかもしれないと、前向きに考えることができるからです。
何かやりたいことがあるなら、たとえ方法が分からなくとも、始めてみれば次にどうすればよいかが見えてきます。前例を踏襲する必要もありません。まずは「やってみる」。先が分からないことを不安に思うより、先を想像することを楽しみましょう。未来をどうしたいかという目的さえあれば、脳に指令を出すことができます。
失敗はあって然り、挑戦者の証です。失敗を重ねた先に成功があります。今、生きる気力さえないほど疲れていても、命さえあれば未来のどこかのタイミングで天命が降りてきます。想定外のことにがっかりすることがあっても、そういう経験こそが幸せを運んでくるので期待してください。苦労も努力も自信と誇りになります。
描く未来は今と何が違うでしょうか。どうぞ自分らしく、素敵な世界を想像することを楽しんでください。
このコラムの著者
教育専門家 福島 摂子
教育相談及び、海外帰国子女指導を主に手掛ける。1992年に来豪。社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命とした私塾『福島塾』を開き、シドニーを中心に指導を行う。2005年より拠点を日本へ移し、広く国内外の教育指導を行い、オーストラリア在住者への情報提供やカウンセリング指導も継続中。