福島先生の人生日々勉強
自分を大切に
他人のやること、なすことが気に障るという人は、自分に甘く他人に厳しいと思われがちですが、実はそう単純なことではありません。何か他人のことでどうしても気に入らない、許せないという人は、その熱量と同じだけ、自分のことが気に入らないのです。しかし、そう言われてもなかなか納得できませんよね。
では、からくりを説明しましょう。例えば、皮肉や嫌味を言う人が嫌いだとします。そういう自分は、皮肉や嫌味を言う自分自身が嫌いなはずです。そんな、自分が嫌だと思っていることなど私は絶対に言わないし、あり得ない! と思うかもしれませんが、まさにその通りです。絶対にしませんよね。自分の価値観によると、絶対にしてはいけないことだからです。
仮に、自分がどうしてもやむにやまれず皮肉や嫌味を言ってしまったとしたら、どんな気持ちになるでしょうか。きっとものすごく嫌な気分になって、落ち込んだり、自分を責めたり、八つ当たりしてしまったりするのではないでしょうか。消えてしまいたいと思うほどに自分のことが許せません。よって、そこまで自分が嫌いだと思う性質を持った他人が現れた時、その人のことを嫌悪してしまうのです。
好き嫌いや善悪のライン引きなど価値基準となるものは、潜在意識として自分の中に存在しています。良いと思うものについては特に問題も起きず、心に傷を残しません。ところが他人の嫌な面を見た時には、自分の嫌な面を見せられた気がして、嫌な気分になってしまうのです。
自分の嫌な面を自身で許せていなければ、他人のことも許せません。他人を嫌う量と自分を嫌う量は同じです。この事実が腑に落ちるとものすごく楽になります。他人の嫌なところをどうにかしようとする必要がなくなるからです。
具体的には、自分自身を嫌うことを少しずつやめて、自分が自分を許す量を増やしていけば良いのです。「これはこうでなければ」と自分を縛り付けるのを止め、「まあ、いいや」「こんな自分でも良いよね」「そんなところもあって良い」とゆるく考えられるようになればなるほど、他人のことも許せるようになってきます。
そうなると、以前よりもずっと楽に生きられます。周りの人と自分との関係は結局のところ、自分と自分との関係です。それもまた、宇宙の法則、自然の摂理なのでしょう。自分で作ったルールに縛られ、ありもしない罪を背負って自分を責める必要はありません。自分のそばにいつも居てあげられるのは自分です。どうぞ自分を大切にしてあげてください。
このコラムの著者
教育専門家 福島 摂子
教育相談及び、海外帰国子女指導を主に手掛ける。1992年に来豪。社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命とした私塾『福島塾』を開き、シドニーを中心に指導を行う。2005年より拠点を日本へ移し、広く国内外の教育指導を行い、オーストラリア在住者への情報提供やカウンセリング指導も継続中。