脇道 ── Side Streets of Tokyo
Through the Camera Lens of Nao Ashidachi
写真家・足達奈穂が切り取る東京の風景、そして込められた思いをつづる
宮益坂を下る。
永遠に終わらないのでは、なんて思っていた渋谷駅の工事。
今年になって初めて、もしかして、少しずつだけど
便利になってきている……と気付いた。
以前は電車の乗り換えの度に人混みに紛れ、
迷宮に入り込んでしまっているような感覚だったが、
だいぶ歩きやすく風通しも良くなっていた。
景色はどんどん新しく変わるが、坂の傾斜は変わらない。
そこに安心する。
街の喧騒の中、宮益坂の下りの地面を踏みしめながらふとそう思った。
このコラムの著者
足達奈穂 Nao Ashidachi
ドイツ生まれ。幼少時代の多くを海外で過ごし、結婚後は夫の海外赴任に伴い2018年から21年初頭までシドニーに在住。14年ごろから東京のストリート・スナップを撮り始め、写真家デビュー。東京の街を舞台にした写真集『boys in tokyo sentimental』を刊行中。現在、東京メトロ×AND STORYの地下鉄車内用広告写真を手掛けている。
WEB: www.naoashidachi.com