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第131回 藤守の田遊び/書家れんのつきいち年中行事

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第131回 藤守の田遊び

ご機嫌いかがですか、れんです。

随分と遅ればせながらではありますが、強く勧められてインスタグラムの毎日投稿を続けております。昨年写真を1枚アップしただけで放置してあったアカウントをようやく動かし始めたというわけです。私の場合、フェイスブックもツイッターもSNSは全て仕事だと思ってやっています。そこでの作品やイベント活動の紹介は自己宣伝の作業。しかし時代に乗り遅れまいとあれにもこれにも手を出せば時間はいくらあっても足りません。1日があっという間に過ぎていきます。それで本業が疎かになれば本末転倒です。

今の世の中、昔と比べていろいろと便利になったことは間違いありません。しかしできなかったことができるようになった分、以前はやる必要のなかったことまでやらねばならなくなりました。本質をしっかり見極めて、大事にそして有効に自分の時間を使いたいものですね。

さて静岡県焼津市藤守地区では毎年3月17日、国の重要無形民俗文化財である「藤守の田遊び(田遊び奉納)」が開催されます。3月10日から行われる帳付(ちょうつけ)の式、水祝、御供納、内的(うちまとう)、外的(そとまとう)、的射(まとい)などさまざまな神事の後、祈年祭の17日に奉納が行われます。

「田遊び」というのは、稲作の作業所作を模擬的に演じてその年の豊作を祈願する民俗芸能であり、予祝行事です。これは主に東海地方での呼び方で、他の地方では御田植祭(おたうえまつり)、春鍬(はるすき)、春田打ち、また御田と書いて「おた」「みた」「おみた」「おんた」「おんだ」「おでん」などと呼ばれています。

平安時代の初期、焼津を流れる大井川の水は豊かな実りをもたらす反面、猛威を振るった濁流が村を襲うこともあったそうです。そこで川の水霊を祭り、感謝と豊饒(ほうじょう)、水害回避を祈って大井八幡宮が建立されました。その際にこの「田遊び」が奉納されたそうです。室町時代の元亀年間(1570~1573年)に形式が整えられ、現在もその原形が正しく受け継がれています。

当日は午前から「内祭の儀」「外祭の儀」という饗応(きょうおう)儀礼と豊凶を占う的射儀礼があり、午後6時から「田遊び」が始まります。演舞をするのは氏子の中の未婚の青年男子。全員が薄化粧をし、女人を模した衣装を着ます。演目は25番組と番外が2つ。組まれた舞台上で笛や太鼓に合わせて能を舞い、詞章を唱えます。最も重要な演舞は第2番の振取(ふっとり)で、御獅子(牛)を祭神の身代わりと考え、内陣よりお迎えします。また演目の中で最も華やかで美しいと言われている第21番の猿田楽ではショッコという紅白の紙蓑(かみみの)の花冠を被った8人の青年が勇ましく舞い跳ねます。これらの演舞で数々の全国的な文化祭典にも出演しており、長い歴史に裏打ちされた高い文化的価値を各地に伝えています。

では、作品をご覧ください。行書の漢字かな混じり書になります。なるべくスッキリとした全体感でまとめたいと思って書きました。よどみのない線で文字の内部のシロを奇麗にそして多めに取っています。特に「藤」という字は画数が多くてゴチャゴチャしてしまいがちなので、線画同士距離を取って風通しを良くしました。ただ闇雲に線を続けるのではなく、状況をよく見て、どこにシロを作るのかをしっかり考えながら丁寧に運筆する必要があります。その辺でやはり最終的な作品の良し悪しの差が出てくのではないかと思います。


れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に書家として参加。2016年シドニー総領事表彰を受ける。書団れん倶楽部主宰。チャッツウッドで書道教室運営。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: renclub.net / Email: renclub@gmail.com / 動画: youtube.com/user/renclub

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