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第133回 知立の山車文楽とからくり/書家れんのつきいち年中行事

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第133回 知立の山車文楽とからくり

ご機嫌いかがですか、れんです。

3月のことになりますが、カウラ市でフェスティバル・オブ・インターナショナル・アンダスタンディングが開催され、大書パフォーマンスとワークショップを仰せ付かって行って参りました。日本が対象国になるのは2回目。カウラ事件から75周年という区切りの年だそうです。

シドニーから豪寿庵のリンダさんの車で5時間半掛けてイベントの前日にカウラ入り。ご招待頂いた前夜祭のディナーの会場に向かう道すがら目に飛び込んできたのが、メイン・ストリートの両側の店々のショーウィンドーにディスプレイされたさまざまな日本の姿でした。「JAPAN」の文字が大きく貼られ、日の丸、富士山、こいのぼり、桜、お相撲さんに舞妓さん、ハロー・キティー、急須に湯飲みなど。日本を知ろうとする姿勢がありありと見受けられます。中には天皇家の菊の御紋もありました。中学生のくらいの男の子とそのお父さんがそれについて話をしていたのが聞こえたので、差し出がましいとは思いましたが教えて差し上げました。日本にエンペラーがいることはご存じなのですね。とにかく街を挙げての歓迎ぶりには大いに心が動かされました。

本番は小雨の降る中でしたが、大いに盛り上がりました。今回、カウラにはこれまでの感謝と今後の更なる友好を祈念して「豪日友好」の額作品を寄贈させて頂きました。末長く良い関係を続けていきたいものですね。

さて、愛知県中央部の知立(ちりゅうし)市にある知立神社は、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東国平定の戦勝を祈願した場所。平定後の帰途にその感謝を込めて創建したと言われる歴史ある神社です。その例祭である「知立祭り」は5月2日、3日の2日間、本祭(ほんまつり)と間祭(あいまつり)が1年おきに開催されます。

1653年の「知立中町祭礼帳」にはからくりを神社に奉納した記述があり、山車上の文楽は1747年から始まったことも分かっています。1990年に国の重要無形民俗文化財に指定されて、2016年には「山・鉾・屋台行事」の構成行事の1つとしてユネスコの無形文化遺産に登録されました。

西暦の偶数年に開催される本祭では「山車文楽」と「からくり人形芝居」が奉納されます。この時、曳き出される5基の山車のうち、山町、中新町、本町、宝町の4基で人形浄瑠璃(じょうるり)が、西町の山車ではからくり人形芝居が上演されます(浄瑠璃とは三味線を伴奏楽器として太夫が詞章を語る音曲のこと。また間祭では華麗な5台の花車が各町内から出されるのみ)。

山車は2層から成り、1層目正面の前戸屋(まえどんや)と呼ばれる唐破風(からはふ)造りの場所に三味線と太夫が座ります。そして人形浄瑠璃はその前にある手摺(てすり)を周囲に巡らした舞台で3人遣いで演じられます。また、からくり人形芝居は2層目に4体の糸からくりの人形を配して上演されます。糸を操って動かす独特のからくり技術は各町内で伝承。竜北中学校には文楽クラブが置かれて技術指導が行われています。

それでは作品をご覧ください。行書の「知立の山車文楽とからくり」です。聞き慣れないかもしれませんが、書道の世界では現代の漢字と仮名両方あるものを漢字だけ、仮名だけのものと区別して「漢字仮名混じり」もしくは「調和体」などと呼んでいます。硬いイメージのある漢字と柔らかな丸みを持つ仮名を全体が不自然に見えぬように調和させねばなりません。漢字に仮名を近付けて硬くて強いイメージにするのか、その逆で漢字を柔らかく仮名に合わせるのか、言葉から醸し出されるイメージによってどちらかを選択することになります。


れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に書家として参加。2016年シドニー総領事表彰を受ける。書団れん倶楽部主宰。チャッツウッドで書道教室運営。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: renclub.amebaownd.com / Email: renclub@gmail.com / 動画: youtube.com/user/renclub / インスタグラム: instagram.com/renyano

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