第14回 タスマニア巡り
ほろ苦く甘いレザー・ウッドの蜂蜜
旅先で、旅の思い出に、家族や同僚にと頭を悩ませるのがお土産。今回はタスマニア土産に最適なレザー・ウッド・ハニーをご紹介します。
州固有の木、レザー・ウッドから作られる蜂蜜は強い甘さの中にほろ苦さがあり、独特の芳香を持っていて、味はマヌカ・ハニーをうんと甘くした感じ。この独特の味は初めて食べると驚きますが慣れてくるとクセになります。使い方もトーストなどはもちろん、少量を紅茶に落としたり、照り焼きやローストのタレに混ぜたりと料理のアクセントとしても活躍します。
タスマニアの養蜂家はほぼ全てこのレザー・ウッド・ハニーを作っていて、その総量は蜂蜜全体の70%に及びます。小さなスーパーやお土産屋さんにも置いてあるので簡単に手に入ります。ブランドはいろいろありますが、もともと純度10 0%の蜂蜜のため味の違いはほとんどありません。あとは瓶のサイズの問題ですが、お薦めなのが50㏄ほどのお試しサイズ。大さじ2杯分ほどの量で小売りになっているので重さも場所も取りません。値段も2~4豪ドルとお手ごろ。他の味の蜂蜜とセット売りもされているのでいろいろ試したい人にもお薦めです。
蜂蜜としては多くても、木自体はタスマニアでも限られた場所にしかありません。標高があり降水量が1500ミリ以上の鬱蒼(うっそう)とした森という、オーストラリアらしからぬ生育条件を満たす、西部から中央に掛けての山間部と標高の高い南東部の山の一部のみ。また、樹齢75年以下だと花が付きにくく、満開と呼ぶほどになるには170~210年も掛かるとか。5センチほどの白い4弁の花を鈴なりに付けるこの木は、セントクレア湖から西海岸に抜けるライル・ハイウェー沿いなどで見つけやすいでしょう。
花の見頃となる12月下旬~2月初旬は森に甘い香りが漂います。森や平原付近に白い箱が積まれていたら近くレーザー・ウッドがある証拠。この時期、養蜂家は蜂箱をレザー・ウッドがある森に設置して蜜を集めてもらうのです。
このコラムの著者
稲田 正人
タスマニアのツアー・ガイド/コーディネーター。タスマニア大学で動物学・環境学を学んだ後、のんびりゆったりした生活感に魅せられ、そのままタスマニアに在住。現在は現地旅行会社AJPR(Web: www.ajpr.com.au)に勤務する傍ら、多過ぎる趣味に追われる日々を満喫中。