7%超のインフレに負けず、個人消費は依然旺盛
オーストラリアでは1年に7%以上物価が上がる32年ぶりという歴史的なインフレにも関わらず、消費者は依然として活発に買い物をしている。
公共放送ABC(電子版)の経済番組「ザ・ビジネス」によると、25日の「ブラック・フライデー」と28日の「サイバー・マンデー」の間の小売売上高は昨年より約2億豪ドル増え、約62億豪ドル(約5,800億円)に達するという。オーストラリア小売業協会(ARA)のポール・ザーラ代表が、同番組のインタビューで見通しを明らかにした。
ブラック・フライデーは感謝祭の連休に合わせた安売りイベント。サイバー・マンデーはそのオンライン版だ。いずれもクリスマス商戦の第一陣として米国で普及した。
ザーラ代表は「この1週間の売上高は、クリスマス商戦全体の約25%を占める。米国発祥のイベントが世界的な現象になっており、オーストラリアの消費者にも広まっている」と指摘した。
小売売上は数量も伸びている
インフレと利上げにもめげず、消費者は依然として財布の紐を緩めている。オーストラリア統計局(ABS)によると、9月の小売売上高(季節調整値)は、東部の大都市がコロナ禍のロックダウン(都市封鎖)の渦中にあった前年同月と比較して、17.9%増加した。
インフレが売上高を押し上げている側面が大きいものの、9月四半期の数量ベースの指数(季節調整値)も前年同期比で10.0%増となっている。物価高にもかかわらず消費者が活発に買い物をしていることが分かる。
商戦の結果が景気の試金石に
ANZ銀によると、ブラック・フライデーは1日当たりの平均支出で、2020年にボクシング・デー(12月26日)を抜き、消費者が1年で最もお金を使う日となっている。
ANZ銀の上級エコノミストを務めるアデレード・ティンブレル氏はABCに「ブラック・フライデー商戦が好調に推移するか、不調に終わるのか。その結果は、利上げの影響で消費者がどれだけ財布の紐を引き締めるかを見極める上で、重要なカギになるだろう」と話した。
豪州のネット通販大手「コーガン・ドット・コム」の創業者で最高経営責任者のラスラン・コーガン氏は、同番組で「ブラック・フライデーは非常に大きなイベントだ。この日の売上高は、平均的な日と比べて500%以上増えると見込んでいる。インフレと生活コストの上昇の影響を受けて、消費者はコストダウンに注力している私たちを評価してくれているんだ」と語った。
■ソース
Black Friday, Cyber Monday sales set to top $6b, as consumers shrug off soaring inflation(ABC News)