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2023年、私たちのマネーはどうなるの? オーストラリア経済の展望 ②株価編

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株価はスーパーに加入する全勤労者に影響する

オーストラリアン・フィナンシャル・レビューの記事を元に構成。作成:守屋太郎

 オーストラリアでは、コロナ禍で実施された前例のない金融緩和の針が巻き戻され、一転して急速な金融引き締めに舵を切った2022年。歴史的な水準の高インフレと急激な利上げにより、住宅価格や株価などの資産価格が大きく下落した1年となった。

 今年は、世界的な景気減速を背景にリセッション(景気後退=2四半期連続のマイナス成長)入りの可能性もささやかれる。オーストラリアに住む私たちの資産価値はどうなるのか。第2回は株価の見通しについて考察した。

 投資に興味がないという人でも、オーストラリアで働いている人なら誰でも、「スーパーアニュエーション」(スーパー=確定拠出年金)のファンドを通して、株式や債券に間接的に投資している。年金の運用成績は、老後に向けた資産形成に大きな影響を与えるだけに、株価や景気の動向には常に注目しておきたい。

インフレで資源・エネルギー株は絶好調

 2022年のオーストラリア証券取引所(ASX)の主な株価指数は、ASXに上場する上位200社の加重平均指数「S&P/ASX200」が年間で5.45%安、コロナ禍の金融緩和で高騰した21年から一転してマイナスに沈んだ。上位500社対象の「オールオーディナリーズ」も同7.17%安だった(いずれも配当を考慮しない株価のみの数字)。

 住宅価格と同様に、株価もインフレと利上げの影響を大きく受けた1年となった。ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源・エネルギーの高騰を背景に、業種別では、資源価格の高騰に伴い「エネルギー」(39.71%高)や「公益事業」(24.19%高)、「資源」(13.18%高)などの企業の株価が大幅に上昇した。

 一方、利上げ局面ではバリュエーション(企業価値評価)が縮小する「IT」(34.25%安)のほか、「不動産」(23.91%安)、「通信サービス」(13.43%安)などが大きく値を下げた。

主要指数は平均3.0%高との予測

 ASXでは新年最初の取引日となった3日、S&P/ASX200は1.31%安の6,946.20、オールオーディナリーズは1.25%安の7131.10といずれも反落。その後、両指数はともに2日連続で反発しているものの、波乱含みのスタートとなった。

 今後の見通しはどうか。3日付の経済紙「オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー」(AFR)は、金融大手7社が予想した2023年12月末のS&P/ASX200指数の目標株価(グラフ)を伝えている。これによると、7社中6社が今年は上昇すると予測した。

 最も強気の予想を示しているのは豪金融サービス大手「AMP」で、同指数の目標価格は昨年末比で8.0%高い7,600とした。最も弱気だったのは投資銀行「クレディ・スイス」で、4.8%安い6,700としている。7社の平均値は、昨年末比3.0%高い7,250だった。

今年も資源・エネルギー株が勝ち馬に!?

 クレディ・スイスの株式ストラテジストであるイェイン・ドン氏はAFRに対し「中国の経済再開は、2023年のオーストラリアの株式市場に最も影響を与える要因になるだろう」と指摘した。中国はオーストラリアにとって最大の輸出先。「ゼロ・コロナ」の解除で経済再開が進めば、金属・資源株には引き続き追い風が吹くという。

 それでも、全体では年間ベースで株価下落を想定している。「金融と財政の引き締めにより、2023年を通して企業業績は後退すると見ている。家計は非必需品の消費を控え、企業の支出は成長を上回り、利益を圧迫するだろう」(ドン氏)

 また、スイス系投資銀行「UBS」の株式ストラテジストを務めるリチャード・シェルバック氏も、落ち着いたとはいえ依然として高水準にある商品価格がインフレ圧力に火を注ぎ、資源株が優位に推移すると予想する。

 同氏は「2023年を通してインフレは減速しそうだが、私たちは依然として需要が供給を上回る世界にいる。こうした条件下では、インフレの犠牲になっている業種を避け、インフレの原因に身を置くことがベストだと信じている」と語り、物価上昇の主因である資源に関連した業種の株式に投資することが最適との考えを示した。

 一方、最も楽観的な予測を示したAMPの投資戦略部長を務めるシェーン・オリバー氏は「今年はインフレ圧力が急激に縮小し、各国の中央銀行は(金融引き締めの)ブレーキから(金融緩和の)アクセルに足を移すだろう。経済は想定よりも力強く成長するのではないか」と展望している。

 オリバー氏によると、オーストラリア経済は中国の経済再開による高い資源価格の恩恵を受け、他の先進国よりも高い成長が見込まれるという。そのため、オーストラリア株は世界株を上回るペースで上昇するとのシナリオを描いている。

③景気編に続く

■ソース
S&P/ASX 200 Historical Data(Investing.com)

S&P/ASX 200 Resources(S&P Dow Jones Indices)

Hopes up, shares down: strategists’ predictions for a rocky year(Australian Financial Review)

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