株価・住宅価格の上昇はしばらく望み薄?
公共放送ABC(電子版)によると、オーストラリア・ニュージーランド銀(ANZ)のアデレード・ティンブレル上級エコノミストは30日、2024年末まで利下げは期待できないとの見通しを明らかにした。
ティンブレル氏は「利上げが完全に効果を発揮するまでには時間がかかる。2024年末まで利下げが行われる可能性は低い」と指摘した。その上で同氏は「利下げが前倒しされる可能性はいつもあるが、リセッション(景気後退)がない限り、それはありえないだろう」と述べた。
中央銀行の豪準備銀(RBA)は22年、コロナ経済対策の実質ゼロ金利政策(0.1%)を解除。同年5月以降9会合連続で政策金利を引き上げ、12月に3.1%とした。これは過去10年間で最高の水準だ。依然として根強いインフレ圧力(22年12月期の消費者物価指数上昇率は前年同期比7.8%)を抑えるため、RBAは今年も利上げを継続すると見られている。今後どこまで利上げを行い、高金利をいつまで持続するのかが注目されている。
ANZ銀とウェストパック銀はともに、今回の利上げ局面では、政策金利が今年中頃までに上限の3.85%まで引き上げられると予測している。この通りになれば、RBAは2月7日の今年最初の理事会以降、0.25ポイントの利上げをあと3回行うことになる。
私たちの大切な老後資金であるスーパーアニュエーション(スーパー=確定拠出年金)の運用先である株価や、資産形成に重要な住宅価格は、非常に大雑把に言えば金利と連動している。これらの資産価値は利上げ局面で下落し、利下げ局面で上昇する傾向が強い。「24年末まで利下げはない」との観測が正しければ、当面は資産価値の上昇が期待できないのかもしれない。