輸入4.3%減は「悪いサイン」
オーストラリア統計局(ABS)が1日発表した国内総生産(GDP)統計によると、2022年12月期(10月〜12月)の実質GDP(季節調整済み)成長率は前期比0.5%増となり、5期連続でプラス成長を実現したものの2期連続で減速した。22年6月期は0.9%増、22年9月期は0.7%増だった。市場予想の0.8%も下回った。
前年同期比では2.7%増と市場予想と同じだった。実質GDPの実額は5,557億豪ドル(約51兆1,700億円)となり、コロナ禍前からの成長軌道は維持した(グラフ参照)。
ABSのGDP統計部門の責任者を務めるキャサリン・キーナン氏は声明で「主に消費(0.4%増)と輸出(1.1%増)が12月期の成長に寄与した。家計と政府部門の支出の伸びが消費を拡大させたるとともに、旅行サービス(海外からの観光と留学)や海外市場での石炭、鉄鉱石の需要が輸出を伸ばした」と説明した。
一方、輸入は4.3%急減した。輸入の減少は数字上、GDP成長に寄与するが、消費減少と景気鈍化の兆しと捉えることができる。
人材大手インディードでエコノミストを務めるカラム・ピカリング氏は公共放送ABC(電子版)に「輸入の4.3%減少は、コロナ禍を除くと世界金融危機以来最大の落ち込みだった。インフレが家計や企業の支出に影響を与えているサインだ」と指摘した。その上で同氏は「引き続き好調な先行指標もあるが、全体としては経済のスローダウンを示している。大幅に景気が鈍化する可能性がより高まっている。ただ、短期的には失業率が急上昇するようなことはないだろう」と述べた。
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