急激な利上げで債務者全体の3割がピンチ
調査会社ロイ・モーガンが28日に発表した世論調査結果によると、オーストラリアで住宅ローンの返済継続が「危険」と感じている人の数は推計149万6,000人と、2008年の世界金融危機(リーマンショック)時の146万人を上回り、史上最高を更新した。
住宅ローン債務者全体に占める割合は29.2%に達したが、これはリーマンショック時の35.6%より低かった。当時は債務者の総数が今より少なかったためだという。
また、返済継続が「きわめて危険」と感じている人は101万7,000人と全体の20.3%を占め、過去15年間の平均値15.4%を大幅に上回った。
ロイ・モーガンは7月までの3カ月間、自分が住む目的で住宅ローンを返済している人(有効サンプル数2,748人)を対象に調査を実施。その結果を全人口に当てはめて推計した。
オーストラリアでは約30年ぶりの激しいインフレを抑え込むため、中央銀行の豪準備銀(RBA)が2022年5月以降の15回の会合で12回という過去に前例のないペースで利上げを行ってきた。政策金利は0.10%から4.10%まで4ポイント引き上げられ、住宅ローン金利もこれに連動して急上昇。支払いの負担増はローン債務者に重くのしかかっていて、個人消費を冷え込ませ、景気の先行きに暗い影を落としている。