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まさに“時は金なり”と知らされたある日のシティ/タカ植松のQLD百景 第33回

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ブリスベンCBD/メアリー・ストリート

 シティに急用ができた。約束の時間が迫っていて、ニューヨーク並みに高い駐車料金におびえながら目的地近くの駐車場にピットイン。入庫係のお姉さんが「2時間以内ならそこに停めていいわよ」と“予約済み”のコーンを動かし、目の前の駐車スペースに誘導してくれた。

 料金は1時間25豪ドル、1時間を越すと47豪ドルに跳ね上がる。馬鹿高い。「スムーズに行けば、十分に1時間で足りる。いや、帰りにカフェでコーヒーを飲む時間だってあるはず」と心づもりをしながら、早足でシティの街を急いだ

 所定の用事を終え、「さてコーヒー」となった時の残り時間は10分少々。少しでも駐車場の近くでと見つけたのが、写真のエスプレッソ・バー。表通りから奥まった立地ながら、そこはかとなく漂う“おいしいコーヒーを出す店”臭に足が動いた。

 所望したコーヒーはレギュラーで5.50豪ドルとシティでは良心的な価格だが、バリスタに差し出された現物は、筆者の定義上明らかなスモール・サイズ。”Size doesn’t matter”とすすると、その味は確かだった。

 そんな時、ふと下から見上げるような視線を感じた。脇のカップルのプラムの中の赤ん坊が筆者を見て大はしゃぎ。なぜか、いつも白人の赤ん坊に大人気のひげ面アジアン。ここぞとばかりに変顔で返礼すると、更に大ウケの赤ん坊。それに、更に違う変顔で……。「あ、ヤバい!」と我に帰り、駐車場へ猛ダッシュ。

 「まだ、1時間経っていないはずよ」との係の声を背に、車に飛び乗って出口でクレカをかざすと、ディスプレイには無情にも「$47」の数字。無機質に吐き出されたレシートの出入庫時間は、「10:23」「11:24」……。1分に泣き、駐車料金ほぼ2倍のシティや恐るべし。

植松久隆(タカ植松)

植松久隆(タカ植松)

文・写真 タカ植松(植松久隆)
ライター、コラムニスト。ブリスベン在住の日豪プレス特約記者として、フットボールを主とするスポーツ、ブリスベンを主としたQLD州の情報などを長らく発信してきた。2032年のブリスベン五輪に向けて、ブリスベンを更に発信していくことに密かな使命感を抱く在豪歴20年超の福岡人

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