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三銃士/日豪フットボール新時代 第143回

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4月29日、試合直後の三銃士。この日も町田が2得点、住吉が1得点を挙げ、5ー0での完勝だった(筆者撮影)

 ブリスベン郊外の工業地域に本拠地を持つフットボール・クラブ、ブリスベン・ナイツ。その愛称「騎士(ナイツ)」が示す通り、クロアチア系のコミュニティー・クラブなのはフットボール・フリークにはすぐ分かる。ここ数年、そのクラブに関しての噂をよく耳にしていた。

 いわく、「新しいマネジメントが上のリーグから選手をどんどん呼び集めているらしい」「NPL(州1部リーグ)と遜色ない額をもらう選手もいるらしい」などなど。実際、昨季のナイツはFQPL4(州5部、豪州6部相当)を他のクラブを寄せ付けない圧倒的な強さで駆け抜けていった。迎えた今季もFQPL3(州4部、豪州5部相当)で昇格組ながらも首位に付けている。

 そのクラブの攻撃陣を牽引するのが、写真の日本人トリオだ。その筆頭格は、岡田武瑠(30・写真左)。豪州主要3州のNPLを渡り歩いた比類なき経験を誇る侍フットボーラーが1年のブランクを経てピッチに戻って来た。

 住吉良太(24・同中)もNPL QLDの経験者で、昨年は下部リーグで無双、今年からナイツに迎え入れられたインテリジェンスあふれるMF。

 最後に控える町田ブライト(27・同右)は、J3岐阜に2年所属した元Jリーガー。去年から加入したナイツでは、“フィジカル・モンスター”という異名の通りフィジカルの強さで得点王に輝く大活躍を見せ、昨年の昇格の立役者となった。

 この3人は、1人ひとりが当コラムで個別に取り上げるにふさわしい存在なので、ここではあえて個別に深堀りをしないでおこう。

 そんな彼ら3人以外の選手も明らかに州4部レベルでないのは、それもそのはず、多くの選手が州1、2部の経験者だからだ。岡田が「ようやく選手がそろい、チームとして形になってきたのはここ数試合。試合を追うごとに良くなってきている」と語る言葉を額面通りに受け取るならば、このチームにはまだ伸びしろがある。

 「FQPL1(州2部、豪州3部相当)に定着することが最低限の目標(岡田)」というクラブにとっては、今年戦うFQPL3は単なる通過点に過ぎないのかもしれない。しかし、リーグで相見える相手もただ指をくわえて見ているだけではない。ナイツが苦手とするシンプルに蹴り込むフィジカル勝負に持ち込み、彼らにひと泡吹かせようとやっきになって来るはず。

 去年に続いて今年も昇格を果たして、更なる高みを目指そうとしているナイツが、リーグ戦の残り試合も勝ち続けてFQPL3を席巻できるかどうかは、その攻撃を担う日本人三銃士の出来次第といっても過言ではない。楽しみだ。

植松久隆(タカ植松)

植松久隆(タカ植松)

タカ植松(植松久隆)、ライター、コラムニスト。タカの呟き「5月のフィーメイル・フットボール週間には、全豪各地で女子フットボール関連のさまざまなイベントが行われた。娘のクラブでは全てのカテゴリーの女子選手が一緒にトレーニングを行った。驚いたのが、若年層のレベルの高さ。マチルダス人気が確実にレベル向上につながっているのを実感した」





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