キャプテン・クック・ブリッジ/ブリスベンCBD
M1ことパシフィック・モーターウェイは、キャプテン・クック・ブリッジでブリスベン・リバーを渡ると、リバーサイド・エクスプレスウェイに名前が変わる。今回の写真は、そのキャプテン・クック・ブリッジからシティのまさに中心部を捉えたもの。あ、心配はご無用。決して運転中に撮ったわけではなく、助手席の娘が撮ったものだ。今回の写真のクレジットに、いつもと違って娘の名前が入っているのはそれ故だ。
昨今、キャプテン・クックことジェームズ・クックは、大英帝国の覇権主義のあしき象徴として一部の層からひどい悪者扱いを受けている。昨今のポリティカル・コレクトネスは行き過ぎと感じている身からすれば、彼の卓越した航海術を駆使して成し遂げられた探検家としての偉大なる業績まで否定することはできないはずだと感じる。だが、こういうセンシティブなことは門外漢があまり首を突っ込むことでもないのだろうか。
写真の正面からやや左の建物は、青竹を刀でスパッと斬ったようなそのユニークな形状から“Lipstick(口紅)”というニックネームのブリスベンの新たなランドマークだ。だが、意外なことにこのビルには特別な名前はないらしい。所在地の住所である“1 William Street”が公式の名称だというのも何とも味気ないものだ。
その“口紅”に被ってよく見えないが、その隣には「キングズ・ワーフ」という壮大な再開発がほぼ完成に近付いていることに触れないわけにはいくまい。そちらも、ブリスベンの新たなランドマークへと育っていくのだろう。
次から次へと新しい建物が立ち、進化を続けるブリスベン。この都市は生きている、ものすごい勢いで成長している──。この橋からシティの眺めを見る度にそう実感するのだ。
植松久隆(タカ植松)
文 タカ植松(植松久隆)
ライター、コラムニスト。ブリスベン在住の日豪プレス特約記者として、フットボールを主とするスポーツ、ブリスベンを主としたQLD州の情報などを長らく発信してきた。2032年のブリスベン五輪に向けて、ブリスベンを更に発信していくことに密かな使命感を抱く在豪歴20年超の福岡人