豪州各地、なかんずくVIC州、NSW州、QLD州の東部3州には多くの日本人フットボーラーがプレーしている。関谷祐、岡田武瑠のように3州のトップ・リーグでプレーする“トライフェクタ”を達成する選手も出ている。元々、日本人選手が多かったシドニー周辺は当然ながら、メルボルンでは日系エージェントの活動が顕著になり、ひと頃よりは明らかに人数が増えている。
そんな流れの中で、筆者がベースにするQLD州のブリスベン周辺もコロナ禍明けからかなり様相が変わってきた。ローカルのリーグ戦を見に行っても、両チームのいずれかに日本人がプレーしていることがままあり、両チーム共に、なんていうことも珍しくない。
毎年、シーズン前にはNPL QLD(QLD州1部)に所属する日本人選手の動向はきちんと抑えるようにしているが、女子や下位リーグになると正直、完全にはカバーし切れていない。
今月、Facebookに上がっているのを見て驚かされたのが、QLD女子FQPL1(州2部、豪州3部相当)の月間ベスト・イレブンを発表するFQ(QLD州協会)の投稿。5月のベスト・イレブンの11人中5人を日本人が占めていた。しかも、その多くはまだ直接話を聞けていない選手。コロナ禍明け、QLD州になでしこフットボーラーが確実に増えている実感はあったが、正直、ここまで顕著にその状況を見せつけられると驚きを通り越して、彼らはどんな状況でプレーしているのだろうかと興味が先に立つ。
先月取り上げたブリスベン・ナイツや女子FQPL1のゴールドコースト・ナイツのように3人が所属するケースもあるから、QLD州での日本人フットボーラーの総数は一体どれくらいに達するのだろうか。
FQPL3(州4部、豪州5部相当)のU23で息子がプレーする関係もあってよく観戦するが、“日本人ダービー”なんて、もう当たり前。選手にしても、試合後に「そういえば相手チームに日本人がいましたね」ってなノリだ。昔は、相手が日本人と分かれば、あいさつに行って少ない日本人同士でちょっとしたピッチ上の交流や情報交換をする姿も見られたが、隔世の感。やはり、それだけ多くなっている証だろう。
この地で、NPLから下部組織まであまたの日本人同胞がさまざまな思いを胸にピッチに立っている。彼らの思い、気持ちを拾って届けていくのも筆者と当コラムに課された重要な使命の1つだろう。まずは、どれだけの選手がいるのか知る意味でも、ブリスベン周辺SEQ地域の日本人フットボーラーの実態調査から始めてみようかと思う。
植松久隆(タカ植松)
ライター、コラムニスト。タカの呟き「今回の記事を読んだ『我こそは』と思う日系フットボーラーはぜひご連絡を。話の次第ではコラムにご登場頂くこともあるだろう。これまでは対面取材にこだわっていたが方針転換。電話やZoomでも話を聞いて、共に“日豪フットボール新時代”を築いていけるさまざまな選手を取り上げていきたい」