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バレエの祭典ガラの舞台裏、読者の皆様へのごあいさつ/QLDバレエ団 合々香と弘平のグランパドトゥ 最終回

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リアム・スカーレット版『真夏の夜の夢』での舞台写真(Photo: David Kelly)

 皆さん、こんにちは。QLDバレエ団の吉田合々香です。

 前回、海外バレエ団所属の魅力的な多くの日本人ダンサーが集まるガラ公演“バレエ・アステラス”について紹介しました。今回は、私が昨年の同公演に出演した際のバック・ステージの様子をお話ししたいと思います。

 オーケストラ生演奏で開催されるバレエ・アステラスでは、出演者が指揮者とテンポを合わせる練習期間が他のガラより長く、5日間ほどあります。毎日、出演者合同でクラス(バレエの基礎練習、ウォームアップ)も行われ、休憩時間には、他の出演者と歓談する貴重な機会も得られました。著名なダンサーたちの普段は見られないような舞台裏の様子、中でも本番直前の過ごし方は、まさに十人十色で非常に興味深いものでした。

 本番中の舞台袖は静寂に包まれ、出演者が集中力を高めつつ控えていることで、独特の緊張感が広がります。そのため、その場の緊張感が影響しないようにわざと自分の出番ギリギリまで楽屋で待機する人、またその逆で緊張感に慣れるために開演からずっと舞台袖で待機する人など、出番直前のルーティンはさまざま。

 他にも、開演時間が迫る中でも軽い仮眠を取り、疲労を和らげるダンサーや、自分の出番が終わると趣味のカメラを持ち出してきて舞台袖で待機する他の出演者を写真に収めるダンサー、他の出演者のパフォーマンスから刺激を受けようと自分の出番以外は舞台袖にピッタリと張り付いて鑑賞するダンサーなど、とても興味深い舞台裏を体験できました。

 毎年、新鮮な顔ぶれが集い、世界中の魅力的な作品が上演されるバレエ・アステラス。実は、今年は既に8月3日、4日に新国立劇場で開催され、私もQLDバレエ団を代表して出演させて頂きました。いつものように「その時の様子を次回で……」と書きたいところなのですが、先月、弘平さんが既に告知されて皆様もご存知のように、約3年間続いた本連載は今回が最終回。大変残念ながら、今年のガラの様子をお伝えすることができません。

 普段、自分の思いを言葉で発信するような機会がなかったバレエ・ダンサーの私に、この様な貴重な機会を与えてくださったタカ植松さん、日豪プレスの関係者の方々、一緒にコラムのバトンをつないでくれた弘平さん、そして、読者の皆様には心より感謝の気持ちでいっぱいです。

 本連載を通して少しでもバレエの世界に触れて頂くことで、興味を持って頂けたなら幸いです。

 いつか劇場で、読者の皆様とお会いできる日を心より楽しみにしています。それでは皆様、また、お会いできる日までお元気で!

このコラムの著者

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吉田合々香(よしだねねか)/QLDバレエ団プリンシパル・アーティスト

金沢市出身。欧州に4年間留学後、2014年QLDバレエ入団のためにブリスベンに移住。平日はバレエ漬け、週末はお菓子作りや居心地の良いカフェでの時間を楽しむ。リラックス方法はおいしい和食を食べ、お風呂に浸かり、アロマを焚いてぐっすり眠ること。好きな映画は『ジュリエットからの手紙』。





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