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変革/日豪フットボール新時代 第146回

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退任したグスタフソン前監督。その喜怒哀楽をはっきり表すキャラは多くのファンに愛された(Photo: Kyoko Kurihara)

 今や、国民的人気を誇るマチルダス。先月のパリ五輪でもメダル獲得を期待され、大会前のプロモーションにも大いに力がこもったが、いざふたを開けてみるとどうだ。グループ・リーグ3戦を1勝2敗の3位で終え、各組の3位3チームの内の2チームが救済されるチャンスすら逃し、まさかまさかの予選敗退。本来であれば、国外開催では最高の結果に盛り上がったパリ五輪の豪州チームの中心にいるはずのマチルダスは、完全に蚊帳の外に置かれた。

 このショッキングな結果を受けて、4年間指揮を執ってきたスウェーデン人のトニー・グスタフソン監督を解任。新監督の下で解体的な出直しを迫られるマチルダスは、2026年、自国開催となる女子アジア・カップを次の大目標に据えて再出発する。

 グスタフソン前監督に関しては、個人的にはトップ・レベルのチームを率いる監督としての素養に長らく懐疑的だった。だからこそ、今回の解任は「遅過ぎた」との感想しかない。モチベーターとしては一級品だが、戦術的な引き出しが絶対的に足りないのは、ある程度目が肥えている人間にはかなり前から明らかだった。それでも自国開催で4位に終わった昨年のW杯以降も続投させたことで、さしたる変化のない選手起用が続き、直面する世代交代の必要性は無為に先送りにされた。

 その世代交代の大きなうねりは、今回の惨敗を受け、もはや先送りのできない喫緊の課題となった。次のアジア・カップを30代で迎える今の主力のシニア・グループに取って代わる若い世代の突き上げが急務だが、アンダー世代の戦績もあまり芳しくない中で、正直、若い世代にも現在の常連選手を脅かすような存在があまり多くないのも現実だ。

 現在、鋭意選考中の次期監督には、チームの解体的出直しの流れで、思い切って世代交代の歯車を大きく回す役割りが求められる。若手の育成と抜擢を行いつつ、総合的な強化を計画的に進め、同時に結果も求められる。国内外を問わず数人の名前が囁かれてはいるが、誰が監督の座を射止めようとも就任後に託されるタスクの達成は容易ではない。

 今後も、マチルダスが国民の多くに愛されるアイコンであり続けるには、やはり、その人気にふさわしい成績を上げ続けることが求められる。五輪惨敗後のドラスティックな“聖域なき変革”の舵取りを担うことになる新指揮官は誰なのか。そして、彼(彼女)の下で変革はどのように進められるのか。しっかり見守りたい。

植松久隆(タカ植松)

植松久隆(タカ植松)

ライター、コラムニスト。タカの呟き「プレミア・リーグ開幕。今年は日本人が更に増えて、観戦の楽しみが増えた。その中でも一番楽しみなのは、クリスタル・パレスの鎌田大地。イタリアのラツィオで順調だったキャリアが少し足踏みしてしまった感はあるので、ここで一気にブレークし世界の一流の仲間入りを果たして欲しい」





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