日本語を学ぶ学生たちの能力向上を目的に、オーストラリア国立大学で創設されたANUザ歌舞伎が、10月11日~13日に第47回公演「『暫』Shibaraku: Wait a Moment!」を開催する。注目の公演へ向け、その舞台裏と今年期待されるポイントや見どころをご紹介する。
(文・写真:ジョイ・ハンセン)
ANUザ歌舞伎とは
オーストラリア国立大学(ANU)ザ歌舞伎クラブは、南半球で最も古い歌舞伎劇団として知られている。同クラブは学生により運営され、伝統的な日本の芸術である歌舞伎を上演し、学ぶことに専念。毎年恒例の公演で、その集大成を迎えている。同クラブは、学生だけでなく、日本語や日本文化に興味のある全ての人に開かれている。
1976年に設立されたANUザ歌舞伎は、現在クラブのディレクターを務める池田俊一氏を含むANU日本センターの教員たちにより、豊かな歴史を築いてきた。伝統的な歌舞伎を重んじつつも、独自のスタイルを発展させ、異性装、現代的なユーモア、ダンス、ポップ音楽、そしてオーストラリア文化の要素が含まれている。
今年の公演には31人のメンバーが参加。それぞれが独自の役割を果たし、細やかなメイクアップから豪華な衣装デザインまで、キャスト自身が全てを手掛けているという。
「『暫』Shibaraku: Wait a Moment!」
今年公演されるのは、有名な十八番(市川家により演じられる18の歌舞伎作品)の1つとして知られている。「『暫』Shibaraku: Wait a Moment!」だ。
物語は、鶴岡八幡宮の前で、悪徳貴族清原の武衡が権力を奪い、皇族の義綱王子やその許嫁である桂の前などを捕虜にしたことから始まる。悪役たちが勝利し、全ての希望が失われたかのように見えた時、突然、「しばらく!」という大きな叫び声が、揚幕の後ろから響き渡る──。
ANUザ歌舞伎会長のクリス・グエン氏は、今年の公演の魅力について、「この作品は、歌舞伎の本質を捉えており、道化役から武将まで、さまざまなキャラクターが舞台上で日本の伝統的な価値観を示しています。教師として、この『Shibaraku』には教育的な側面もあると感じています。また、この演目には第四の壁を破る場面が多く、日本以外ではここでしか見ることができません。歌舞伎に興味がある人なら、この『Shibaraku』はまさに最適な入門作品です」と語る。
今年の見どころ
公演中盤のダンスは、観客を魅了し、活気あふれる伝統的な演目として重要な場面の1つだ。今年も、楽しくエンターテインメント性の高いダンスが期待できる。
また、劇中で繰り広げられる迫力満点の首切りシーンは、スリルと演劇の緊張感を高める、もう1つの注目すべき特殊な場面だと言える。
初日には、日本大使館が主催するフォトブースも登場。観客は写真を撮りながら、歌舞伎の世界に更に深く浸ることができる。ぜひ友人や家族を連れて、歌舞伎の華やかな世界を存分に楽しん欲しい。チケットの予約はこちらから。
ANUザ歌舞伎第47回公演「『暫』Shibaraku: Wait a Moment!」
会場: キャンベラREPシアター(ACT)
日程:10月11日(金)・12日(土)6:30PM~、13日(日)1:30PM~
料金:大人$16、学生$12、子ども$10、4人以上のグループ(1人当たり)$8
ANUザ歌舞伎
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