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日本企業の取り組みでワーホリ人材のクオリティーが変わる!?─ビザ・コンサルタントが解説⑦

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第7回:ビジネス環境でワーキング・ホリデーを活用する

 皆様、こんにちは。東京でオセアニア・ビザ・コンサルティング事業を運営している、AOMビザコンサルティング代表・足利弥生と申します。

 気が付けば今年も残すところあと1カ月となりました。皆様はどのような1年だったでしょうか?この秋は日本とオーストラリアに関連するさまざまな会議やイベントが続き、日豪親交を深める多くの機会があり、改めてとても重要なパートナーシップ国であることを実感した日々で、その一員であることを光栄に感じたひと時でした。

 日本とオーストラリアでは、毎年各国が交互に「日豪合同経済委員会」という大きな会議を開催します。日豪両政府をはじめ、二国間において関連する企業が一同に集まりさまざまなトピックについて協議する機会となります。私は長年オーストラリアのビジネスに関与しておりますが、今年初めて日本側のメンバー(日豪経済委員会:JABCC)としてこの会議に参加させて頂きました。総勢550人近い参加者が日豪から開催地名古屋に集結し、さまざまな業界の人たちと交流しました。あらゆる分野でのディスカッションは現在おかれている日豪ビジネスについて学ぶとてもよい機会となりました。

 日本ビジネス界において海外ビジネスを考えた場合、もしかしたら日本社会における「オーストラリア・ビジネス」はアメリカと比較してまだなじみが薄く、対オーストラリア・ビジネス、ひいてはオーストラリアの大学についての認知度は日本企業人事部の方々には低い印象で、ピンと来ないかもしれません。しかし、オーストラリアの大学はグローバル・トップ100でも上位にあり、日本の大学よりもはるかに多く存在していることも事実です。日豪ビジネスに関与している人たちはオーストラリアの高度教育や幅広いオーストラリア・ビジネスについて理解していますが、日本社会においていまだギャップがあると感じています。

 昨今、世界各国で「高度人材」の獲得競争がますます激しくなってきており、どの国も、そしてどの企業も優秀な人材確保に頭を悩ませているのが現実です。新卒であれ、中途採用であれそれは同じ状況だと思います。そういった観点からも、今後日豪ビジネスを担う人材確保は非常に重要な課題であり、特に両国にコミットしていく若手は将来有望な人たちであると言えます。

 日豪合同経済委員会の会議では、将来日豪ビジネスを担う若者のために「Future Leaders Program (FLP)」という組織が設けられ、日本とオーストラリア両国の若手を中心に活動が行われています。双方の人物交流をより促進し、お互いのビジネスや文化、環境を知り、そして将来の日豪ビジネス・リーダーになっていくための育成の場としてさまざまな取り組みが実施されています。

 私は今回、このFLPセッションに参加させて頂き、日豪交流についてのディスカッションを行いました。現在、二国間の関係は本当に緊密度が高く、皆さんが根本である人物交流の重要性を理解し、今後さらに促進することでより多くのビジネスが派生することが期待できる状況です。

 こうした背景を検討した場合、企業が若手人物交流や双方のビジネスを学ぶ機会として、ワーキング・ホリデーを活用することを改めて提案したいと思います。他国をみても自由に就労条件があるビザを取得できる国は非常にまれであり、特にアメリカでは不可能な状況です。オーストラリアはこの「就労可能なビザが比較的簡単に取得できる」優位性を多くの人、特にビジネスに関与する人は認識していないのではないかと感じています。

 ワーキング・ホリデー制度を賢く活用することで、より日豪ビジネスの理解を深め、そして将来担う人材育成にも大いに活用できる、という点を企業の方々に理解して頂くことで、ワーキング・ホリデー制度の活用の仕方や、何よりもワーキング・ホリデー人材のクオリティーが変わると予測します。第3回のコラムでも解説しましたが、オーストラリア政府は広くワーキング・ホリデー制度を活用し、就労が可能である点を解説しています。事実、他国からオーストラリアに来る多くの若者は英語圏での就労経験を求め、これらの就労経験を糧に自国に戻り、実際の就職活動に生かす取り組みをしています。

 また、以前説明したとおり、ワーキング・ホリデー・ビザは二国間協定によるビザのため、オーストラリアの若手が日本企業で就労することも可能なビザです。最近日本のニュースでも報道されている事例としては、インバウンド・ツーリズム対応のために星野リゾートの系列ホテルで多くの台湾国籍の人を採用したり、アパレル企業やユニバーサル・スタジオ・ジャパンでも本格的にワーキング・ホリデー人材を採用したり、徐々に就労目的で活用し始めています。

 日豪関係において邦人人口がオーストラリアは世界3位と象徴しているとおり、ワーキング・ホリデーは両国の歴史や人の交流に欠かせない存在となっています。現在、オーストラリアから日本への訪問客がついに60万人を超え、1980年後半~1990年代、多くの日本人ワーキング・ホリデー人材がオーストラリアにおける観光業を支え、訪問客を促進した現象がまさに日本で起きている状況です。

 また、あまり知られていないかもしれませんが、実は現在活躍されている日豪関係に関与するオーストラリア政府の人の多くが、若いころにワーキング・ホリデーを利用して来日し、それがきっかけとなり日豪の架け橋となるキャリアとして外交官を目指したり、日本のオーストラリア政府に勤務していたりします。日本に愛着を持ち、日本語を学んだ人たちが、その後のキャリアとして外交官として再び日本に赴任するなど、ワーキング・ホリデーの経験がその後の人生に大きな影響を与えたと言っても過言ではありません。

 こうした観点から、両国で連携する双方の企業同士の若手交流及び互いのビジネスを知る活動としてワーキング・ホリデーは有益であり、多くの日本企業にその点について考えるきっかけになれば幸いです。

 例えば、若手企業研修として英語学校に4カ月就学しその後、現地法人で6カ月就労、というだけでも10カ月の研修プログラムが構築できます。または就職を目指している若者に対してインターンシップの機会提供をすることも有益だと思います。若手高度人材確保のためにはアメリカのような他国ではできない就労体験機会を提供することで、より優秀な学生はこうした機会を求め行動するでしょう。また、将来の日豪ビジネスに関与していく人材育成や確保にも非常に有益な活用となるはずです。

 現在、若くて優秀な人が海外を目指し、企業での勤務年数が短くなってきていることも事実であり、日本の一斉就職活動型がいずれは変わっていくのではないかと感じています。アメリカでは「ボストン・キャリア・フォーラム(BCF)」といわれる日本関連企業の最大国際就職フェアが毎年開催され、この就職フェアのためだけにわざわざ日本からボストンまで時間とお金をかけて参加する学生が多くいます。そして彼らは学生の中でも秀でて特に優秀な人たちです。こうした現状をふまえるとオーストラリアに関心を持つ優秀な若手誘致は今後大きな課題であり、日豪ビジネス促進を検討した場合、就労できるビザの活用をもっと取り入れることで、企業に集まる人材は大きく変わるのではないかと予測しています。

 30歳以下まで利用できるという点をふまえ、日豪ビジネス界においてワーキング・ホリデーを活用することで更なる人材交流及び双方のビジネス促進につながることを真に願います。

AOM Visa Consulting

足利弥生
■住所: 〒105-6027 東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー27階
■Tel: +81-3-4540-6305
■Web: https://aom-visa.com
■Email: info@aom-visa.com
■営業時間: 月〜金 9AM〜5:30PM(日本時間)

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