長期にわたり豪州不動産販売のアドバイスやサポートを手掛けるGIM Capital Professional Pty Ltdが豪州不動産市場の動向や情報を分かりやすく解説。
明けましておめでとうございます。本年も気になる豪州不動産の動向。今回は「家賃比較」について都市別に現状把握できるよう解説します。
金利変動が市場に与える影響をどう見るべきか
2025年は、乙巳(きのとみ)で、「再生や変化を繰り返しながら柔軟に発展していく」年であると言われています。乙(きのと)は、十干の2番目で「木」の要素を持ち、草木がしなやかに伸びる様子や横へと広がっていく意味を持ち、巳(み・へび)は、神様の使いとして大切にされてきた動物で、脱皮を繰り返すことから不老不死のシンボルともされているそうです。私たちの生活も、すっかりコロナ禍を脱却しました。柔軟に生き生きと暮らしていきたいところです。
さて、気になる豪州不動産について、物件価格の動向だけでなく、今回は「家賃比較」に関して都市比較と現状把握をしてみましょう。2024年当初は法定金利が下がり、不動産が買いやすくなることが期待でき、年内に4回は利率が下がるに違いないという専門家の意見もありました。コロナ後の高金利は民衆の購買意欲をそぎ、「下がったら買うのに」という購買希望者と「下がったら値上げしたいのに」という販売側、デベロッパーやビルダーの双方で市場をにらみ合い、結局1年間下がらなかったことにより、各地域の差は大きいのですが、不動産価格も市場意欲も停滞気味というのが、一般的なトレンドでした。本来利率が下がったとしたら借りていた融資も同様に下がるため、下がってから買うというより、買った後でも下がることを期待して早めに購入しても良いとも言えますが、購入者それぞれの人生設計次第ですね。
都市間比較で見える「住みやすさ」と投資価値
購入の時期を考えている間にも、家賃はたゆまなく上がり続けています。キャピタルゲイン(物件価格)とインカムゲイン(家賃価格)の両方が上がりがちの先進国オーストラリアは、ダブルベネフィットと投資家からは称される程、両方上がりがちです。2大不動産情報ウェブサイトの1つ、ドメインドットコムの最新情報である2024年9月の各都市比較の年間比較を確認しましょう。表1、表2に記載されている、一番右端の「年比較」をご覧ください、一軒家、集合住宅共にオーストラリアの都市全てにおいて上昇しました。
ここで、ちょっと意外な事実に気付きませんか? 500万人以上の人口の都市であるシドニーは突出して多めの家賃ですが、その他の都市がそう大きく変わりがない、むしろもう1つの500万人以上の人口であるメルボルンはその都市の規模の割には「低めの家賃」であるという事実です。2023年4月17日に最大都市になったメルボルン。都心に大学が多く点在し、海外流入も順調なため、きっと家賃もシドニーに次ぎ高いに違いないと思われるかもしれません。しかし、その予測を覆し、ロックダウンが世界最長だったメルボルンは、まだコロナの傷痕が不動産市場に残っています。
こうして客観的に都市を比較をすることは非常に大事なことです。「都心は物件価格や家賃が高いので、リージョナルと呼ばれる地方に移動すればきっと家賃は低くなるし暮らしやすくなる」と妄信されがちで、間違った想像があるかもしれませんが、こうして一覧表を見れば、一目瞭然です。「住みやすさ」が世界でトップ3に入るメルボルン(英国リサーチ会社インテリジェンスユニット調べ)は実際家賃が低めで住みやすいということになります。
メルボルンの不動産優遇策と市場回復への期待
都市構造上郊外に人口集中を拡散するべく、メトロを拡大するシドニー。交通機関の費用を低く抑え、市民の負担を減らそうとするQLD州。そして現在価格の横ばいに対しての施策なのか、建設前の物件に対して減税が発表されたメルボルン。
全豪の熱い視線を一挙に集めることになった新・最大都市メルボルンは今後も大注目です。やはり豪州不動産は物件のデザインや頑強さ、将来性に魅力があるだけではなく、こんな大きなチャンスが訪れる機会があるなど、まだまだ目が離せませんね。
皆様の1年がすばらしいものでありますよう、そして「今年こそ買いたい!」「今年こそより良い住まいを」とそんな願いを叶える不動産会社として、今年もお役に立てるよう尽力して参りたいと思います。コラムをご一読頂き、ありがとうございました。
鶴美枝
グローバル・インテリジェンス・マネージメント代表。創業2010年以来、豪州各地の優良不動産を厳選し、豪州及び日本在住のホーム・オーナー若しくは投資家の方々の購入をサポートし資産増幅、理想の住まいの確保に日々尽力中。日本と豪州にて法学部大学院卒業。豪州不動産フル・ライセンス保持