オーストラリアであれ日本であれ、どの国においても不動産売買は人生の中で大きな決断の1つです。どのような手続きにおいても同様ですが、そのプロセスを円滑に成功へと導くためには事前の綿密な準備と専門家の的確なサポートが欠かせません。
今後、何回かに分けてクイーンズランド(QLD)州の不動産売買手続きにおける重要なポイントを詳しく解説し、トラブルを回避し、スムーズな取引を実現するためのヒントを提供します(*不動産売買に関連する法律は各州ごとに異なる場合があり、今回はQLD州の法律に基づいての内容となります)。
1. 不動産市場の特徴の理解
気候状況と自然災害
QLD州は年間を通して温暖な気候であることもあり、比較的1年を通じて不動産取引が活発に行われているようです。しかし、最近ではサイクロンや大雨などによる自然災害も起こっていることから、購入地が過去に洪水や山火事などの被害に遭った履歴があるかどうかについても、しっかり調べることが必要です。
周辺環境の調査
購入希望物件の周辺環境を調査することも重要です。交通の便、学校、ショッピング施設、近所の様子、騒音、周辺の開発予定などを含め、今後生活に密接に関連する要素をきちんと確認しておくことが勧められます。地元の不動産業者やローカル情報サイトなどの活用をして、しっかりと調査することが必要です。
将来性
必ずしも正しい判断ができるわけではありませんが、その土地の将来性についても前述したことを含め検討しておく必要があります。もし、購入した不動産のすぐ隣りに高速道路が建設されることになるなど、そういったことが起こる場合には購入物件の価値ならびに再販度についても影響を及ぼすことになります。
2. 信頼できる不動産仲介業者と弁護士を選ぶ
不動産仲介業者
物件探しから契約交渉まで、不動産仲介業者は頼りになるパートナーとなります。各自が地域の不動産市場に精通していますので、ニーズに合った物件を紹介してくれるはずです。物件に関する情報以外にも、さまざまな地元の生活情報などを提供してくれるでしょう。
弁護士
オーストラリアにおける不動産売買手続きにでは、弁護士の関与がが不可欠です。不動産取引においては法律的な側面が極めて重要であり、専門的な知識が求められます。経験豊富な不動産弁護士に相談することで、契約内容を十分に理解し潜在的なトラブルを未然に防ぐことができます。
3. 購入物件の種類の選択
戸建て住宅、アパート、中古物件、オフザプラン(新規開発物件)、土地購入など、物件購入と言っても、その種類は多岐にわたります。オーストラリアでは外国人の不動産購入を規制する「外国投資審査委員会(Foreign Investment Review Board / FIRB)」という政府機関による承認が必要な場合もあります。そのため、事前に購入希望物件がどのような規制を受けているか確認をすることが重要です。
次回は、契約段階における注意点についてお話いたします。
アドバイザー

清水 英樹
オーストラリアQLD州弁護士。在豪30年以上。地元大学卒業後、弁護士資格を取得。フェニックス・グループCEOとして傘下にあたる「フェニックス法律事務所」、ビザ移民コンサルティング「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故ならびに労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営
