オーストラリア不動産売買について─その2 オフ・ザ・プラン(新規開発物件)契約/豪州ビザ・法律最新事情

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 オフ・ザ・プラン契約とは、まだ登記可能な状態にない新規開発物件を購入する際に用いられる契約です。今後、開発や登記手続きが進められる予定の物件が対象となるため、通常の不動産購入契約とは大きく異なる点があります。

1. オフ・ザ・プラン物件購入

 まだ建設されていない、または、建設中の不動産を購入することを意味します。買い手は完成した構造物ではなく、計画や予測に基づいて購入を行います。そのためオフ・ザ・プラン「計画に基づいた」物件の契約となります。

2. 契約の詳細変動

 オフ・ザ・プラン契約では、契約時の計画と実際に完成した物件が異なることがよくあります。そのため、契約には一定の変更を許可する条項が含まれるのが一般的です。そのため、買い手は最終的な物件が計画通りにならない可能性があることを理解し、承諾する必要があります。

3. 決済と完了

 契約の決済は、建築工事の完了や所有権の登記手続きなど特定の手続きが完了するまで行えません。そのため、決済日が数年後になることもあれば、正確な時期が分からないまま待つ必要が生じる場合もあります。このような状況に対応するため、オフ・ザ・プラン契約では、売り手が一定期間内に建設や登記手続きを完了できない場合に、契約を破棄できる「サンセット期日」が設けられています。工事や開発には、役所からの許認可の取得、建設工事の進行や、関連インフラ整備など、多くの要因が影響し、スケジュールが遅れることも珍しくありません。そのため、決済までの期間については気長に待つ心構えが必要です。

4. 保証内容

 売り手は、プランに記載された外観や仕様を具体的に保証するものではありません。したがって、物件が当初のプラン通りに完成しない可能性や、多少の変更が生じるリスクを買い手が容認する必要があります。

5. リスク

 物件がまだ完成していないため、物件に対する法的リスクは売り手側が負うことになります。しかし、契約から決済までの期間が長期に及ぶ可能性もあるため、買い手は物件の完成、市場環境の変化、決済時の自身の財政状況の変動など、さまざまなリスクを負うことになります。

 開発物件の購入を検討する際は、こうした違いを理解し、契約条件を慎重に確認することが非常に重要です。買い手は、内在するリスクと利点を十分に認識した上で、契約を円滑に進めるために、早い段階で専門家に相談することが推奨されます。

アドバイザー

清水 英樹

清水 英樹

オーストラリアQLD州弁護士。在豪30年以上。地元大学卒業後、弁護士資格を取得。フェニックス・グループCEOとして傘下にあたる「フェニックス法律事務所」、ビザ移民コンサルティング「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故ならびに労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営

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