関西で深化する日豪フットボール関係(1)。ブリスベン・フットボール界のレジェンドとその同志が「三位一体」で描く明るい未来/日豪フットボール新時代 第152回

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3人よれば文殊の知恵。3人で知恵を出し合いながら業務拡大を目指す(写真提供=TFD)

 2月某日、底冷えの寒さの中、しばらくぶりとなるある男に会いに出掛けた。新大阪駅で新幹線を降り、在来線を乗り継いで向かった兵庫県境を越えてすぐの某駅。その駅前のカフェで落ち合ったのは、伊藤和也(38・写真中)。当稿の熱心な読者であれば、筆者が定点観測的に長年追い続けた結果としての幾度にもわたって書いた彼の登場回コラムを覚えているかもしれない。実に8年にわたり、QLD州リーグNPLで活躍を続けたレジェンドは、帰国後5年を経て関西フットボール界でその存在感を確実に増している。

 彼の現在の生業は、「TFD」ブランドで展開するフットボール関連事業の経営者。主たる業務としては、日豪両国で展開するフットボール・スクール事業、そして、J経験者を主たる対象としたエージェント業、更には、既存のクラブやスクールに向けたアドバイザー業、それにツアーなどのアテンド業も入ってくるというから非常に多岐に渡っている。

 オーストラリアから帰国後5年でこれだけの事業を起ち上げ、成長させ続けることができているのは、当然ながら、伊藤自身の人となりや商才などに追うところは大きい。しかし、当の伊藤本人は、謙遜などかけらも見せずに「彼ら2人の助けがあってこそ」と必要不可欠なビジネス・パートナーの存在への言及を忘れない。

 その2人との関係性は、言わずもがなの伊藤のいわゆる“オージー・コネクション”。1人目は、伊藤と同時期にブリスベンの名門ブリスベン・ストライカーズで5期にわたって活躍した大森啓生(34・写真右)。もう1人は、数多くいる豪州経験のある日本人フットボーラーでも極稀なNSW州、QLD州、VIC州の主要3州のトップ・リーグ(NPL)でプレーした実績を持つ関谷祐(33・写真左)。いずれも、NPLで大活躍をした侍フットボーラーの象徴的存在となった選手。そんな彼らは、現在、関東在住の大森がTFD事業を関東で展開させ拡大できるように日々励んでおり、関谷はTFDの本拠地とも言うべき関西エリアで伊藤の右腕として忙しい日々を送っている。

 オーストラリアで出会った3人が、力を合わせて、フットボール界隈で事業を成功に導こうとしているという姿を見るだけで、現役時代から長く彼らを知る筆者はうれしくてたまらない。更なる日豪フットボール関係の深化の中で、志の高い3人が三位一体のトライアングルを組んで目指していく将来の展望は明るい。なぜならば、彼らには確固たるビジョンがある。たゆまず歩んで欲しい。

プロフィル

植松久隆(タカ植松)

植松久隆(タカ植松)

ライター/コラムニスト。タカの呟き「豪州U20代表ヤング・サッカルーズが、U20アジア杯を制して、14年以来の世代ごとの国際大会の優勝タイトルをもたらした。準決勝で日本に完勝、PK戦までもつれた決勝でサウジを破っての戴冠。非常にめでたい。世界にはまだ上がいる。アジア王者として望むU20W杯でも堂々の活躍を望もう」





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