日豪プレス・インターンシップ・プログラム取材記事

シドニーのタウンホール(Town Hall )から徒歩1分の場所にある日本のラーメン店「博多元助」(以下、元助)。本記事では、日豪プレスにインターン生として在籍した3人のラーメン好き女子大生が、同店を訪れ、更にメルボルン本社のジェフリー・ウォンさん(Geoffrey Wong)にオンラインでインタビューした内容をお届け。どこにも負けない元助のこだわりや独自性、その強みを磨き上げるための努力に迫る。
(文・写真=加藤恵理佳、高木更紗、二軒谷文玲)
追求し続ける味へのこだわり
シドニーには、日本のラーメン店が多数点在する。私たちは、元助の魅力をより多く引き出すための取材を試みるため、他店との違いに迫った。元助は味への追求を徹底的に行っている。まず、ラーメンの要であるスープについて、ジェフリーさんは「スープは非常に重要な要素であり、味の違いを大きく左右します。そのため、スープのレシピやトッピングに関して数々の賞を受賞してきました。更に最高のスープを作るために、特別な技術を学び、それを実践し続けています」と言及。例えば、15分ごとに特別なデバイスを使い、スープをチェックする。スープをデバイスに入れて数値を測定し、適切な品質のものを提供できているかを確認する。また、スープの風味を維持するために頻繁にスープの管理を行い、数杯ごとに特定の工程を実施することで、全てのお客様に同じ食感、同じ濃度、同じコク、そして同じ深い味わいを楽しんでもらえるようにしているという。元助では、このような厳格な管理の元、ラーメンが提供されるのだ。
次に、チームが手作りで製造している麺について伺った。日本の特別なレシピをもとに、チームが適切な水と小麦粉の比率、最適な調理時間など、技術的な細部に至るまで徹底的に管理しているという。これらは一見退屈な作業に思えるかもしれないが、全て厳密に守ることで、スープと完璧に調和する麺を作り出すことにつながるのだ。

日本から特別に仕入れる「かえし」は、元助だけが使用を許されている特別な調味料。ラーメンの味の決め手となるだけでなく、チャーシューや味玉の漬け込みにも活用され、他店では再現できない独自の味わいを生み出している。日本の伝統と技が詰まったこの「かえし」こそが、元助ならではの一杯を支える重要な要素の1つだ。
日本の外に出ても日本のおもてなしを

元助に来店した際、お客様に日本を感じてもらえるよう最善を尽くしているというジェフリーさん。開店前から朝礼を行い、日本の言葉や、お客様に向けた声掛けを練習するなど、最高のおもてなしができるように努めているという。開店前に商品を入念に確認し、完璧な状態で提供するだけでなく、更に高みを目指して努力していた。店内は非常に整頓されている。また、ドリンク・メニューには日本を感じられる緑茶($3,90)やラムネ($4,80)があった。元助は、ラーメンだけでなく、ドリンクなどその他のメニューにまでこだわりの視点を向けている。
取材に訪れた際、元助の店内がとても清潔感にあふれているのが印象的だった。店内の匂い、博多豚骨ラーメン($20)を頂いた時、日本の味をしっかりと感じることができ、ひと口スープを飲んだ瞬間、思わず感動した。また店内に流れる日本の音楽も印象に残り、五感全体でその空間を楽しむことができた。
ラーメンを実食した感想
博多豚骨ラーメン($20)は、かなり細い麺でとても食べやすかった。神炎ラーメン($21)は、5種類の辛さ(0.5、1、2、3、4)から選んで注文することができる。黒豚骨ラーメン($21)は、黒ごまとニンニクの風味が効いていて、深いコクと香ばしさが特徴。どのラーメンも、油っこさは感じず、多くの人が楽しめる味だと感じた。
ドリンクは、柚子レモンティーを頂き、酸っぱい柚子の味と甘いレモンティーが溶け合い程よく楽しめる、ラーメンの後によく合う味だった。

続いて、新メニューのミニ・ラーメン・セットに注目した。これは、2つのおにぎり(明太子、ゆずみそ、うなぎ、梅味、チャーマヨ、味玉から選択)と、サイド・メニュー(枝豆、鶏唐揚げ、餃子から選択)、豚骨味のミニ・ラーメンがセットになった物だ。おにぎりは、とにかく具が大きく、米がみずみずしい印象だった。サイド・メニューの鶏唐揚げは、ジューシーな鶏そのものの味を存分に味わうことができた。
お客様の心を躍らせる、元助のメニューへのこだわり
博多元助の強みは、最高品質を維持することだけではない。こだわり抜かれた濃厚なスープ、絶妙な食感の麺、そしてバランスの取れたトッピング、その全てにおいて妥協のない一杯を提供し続けるだけでなく、常に新たな挑戦を続けている。
ジェフリーさんは、「私たちの革新への情熱を支えているのは、ハイエンドなファインダイニング、ラグジュアリーホテルの料理、日本の中華料理(中華そば)といった多彩な経験を持つR&Dチームです。彼らの手によって、天麗豆乳ラーメン、牡蠣ラーメン、トリュフマッシュルームラーメン、海鮮シリーズ、中華シリーズ、担担麺といった、トレンドやお客様のニーズに合わせたオーストラリア限定の特別なメニューが生み出されています」と話す。
更に、ハロウィン・ブラック・ファイヤー・ラーメンのような遊び心あふれる季節限定の一杯も登場。クラシックな味わいも、新たな挑戦も、どちらも「最高の満足と喜びをお客様に届ける」という思いのもと生まれている。

最後に、ジェフリーさんにお客様が元助のラーメンを食べた時、どのような気持ちになってもらいたいか伺った。その答えは、「最も大切なのは“満足感”」。シドニーで繰り広げられるラーメン店競争に価格はあまり重視されないという。最も重視されるのは“満足感”であるとジェフリーさんは語る。全てのことがお客様の満足度につながるよう努力し続ける元助は、世界を股にかけ、輝き続けるだろう。
取材を終えて
元助の店内に入った時、日本に帰国したのではないかと思ってしまった。また、従業員の皆さんがとても明るく、はきはきと声を出しているのが、非常に印象的だった。取材中も、店が開いていると思い、様子を伺う人が多くいた。そのため、今回の取材を通して、日本のラーメンという食べ物が、シドニーの人びとにとても受け入れられていると感じた。取材にご協力頂き、ありがとうございました。
(加藤恵理佳)
今回の取材で一番印象に残っているのは、元助がシドニーという地で、日本のラーメンを作る際にこだわっている点だ。毎朝早くから仕込みをしてラーメンの温度を測り、お客様から見た角度が完璧な状態であるかを確認している姿に感動した。たくさんの工夫がされているからこそ、元助が人気店であるのだと感じた。取材した際に、言葉の壁がある中で、笑顔で対応してくれたスタッフの方々を見て、また訪れたいと思った。すばらしい人たちの中で作られている「博多元助」のラーメンがこれから先も、もっと人気を集めて欲しい。なかなかできない貴重な体験をすることができてとても良い経験になりました。ありがとうございました。
(二軒谷文玲)
日本でも多くのラーメン店に足を運び、さまざまな味や雰囲気を感じてきた。正直、本場ではないという先入観もあったが、スープをひと口飲んだ瞬間に私の中の固定概念が覆された。店の扉を開けた時からまるで日本にいるかのような気持ちにさせてくれる。そしてそのような満足感を顧客に与えることができるのは、紛れもなく元助のこだわりの強さであると感じた。取材を通して元助の深い部分まで知ることができた。ありがとうございました。
(高木更紗)

博多元助(Hakata Gensuke)シドニー店
博多元助(Hakata Gensuke)シドニー店
住所:Regent Place Shopping Centre, 501 George St., Sydney NSW 2000
営業時間:月~水11AM~9PM、木~日11AM~10PM
Tel:0426 875 988
※同記事は、2月24日から2週間にわたり、日豪プレスのインターンシップ・プログラムに参加した愛知淑徳大学の学生3人が取材しインタビューを行ったものだ。