51年ぶりの南寄りコースで市街地直撃へ
サイクロン「アルフレッド」が8日、オーストラリア・クイーンズランド州南東部のブリスベンからゴールドコーストにかけてのエリアに上陸する。サイクロンは日本の台風とどう違うのか。疑問に答えた。

Q:今回のサイクロンの特徴は?
A:アルフレッドの第一の特徴としては、異例の南寄りの針路を取っていることにあります。このまま西に進み、明日にはほぼ間違いなくオーストラリアでも有数の人口密集地域を直撃します。
連邦政府の地球科学研究機関「ジオサイエンス・オーストラリア」によると、オーストラリア周辺でサイクロンの大半が発生するのは、12月〜4月の5カ月間です。近海では年間平均11個のサイクロンが発生し、このうち同4個が上陸しています。
ただ、ほとんどは人口の希薄な大陸北部に上陸しています。これまで大規模な被害を出したのは、1974年のクリスマス・デーに北部ダーウィンに上陸して71人の犠牲者を出したサイクロン「トレーシー」や、2011年2月にクイーンズランド北部を直撃して農業や観光業などに8億豪ドル以上の被害を出したサイクロン「ヤシ」など、数個に限られています。
とりわけ、ブリスベンからゴールドコースト、ニューサウスウェールズ州北部に至る国内有数の人口密集地に上陸するサイクロンは、1974年以降これまで51年間、1つもありませんでした。サイクロンから変わった低気圧が南下して、大規模な洪水被害をもたらしたケースはありました。しかし、サイクロンの強い勢力を保ったまま、ここまで南のエリアに上陸するのは、非常に稀なケースなのです。
Q:アルフレッドの上陸が当初の予報より遅れているのはどうして?
A:今回のサイクロンの第二の特徴としては、スピードが非常に遅いことが挙げられます。オーストラリア気象局(BOM)によると、アルフレッドは東部夏時間7日午後9時の時点で、ブリスベンの東70キロの海上を時速7キロで西北西に進んでいます。ペダルをゆっくりこいで自転車に乗っているのとほぼ同じ速度です。
全国紙「オーストラリアン」によると、アルフレッドの南北に位置する2つの高気圧の力が相反して作用していることから、スピードが弱まっているという説があります。北に位置する高気圧がアルフレッドを東に押しつけようとしているのに対して、逆に南にある別の高気圧が西に抑えつけているというのです。
いずれにせよ、今回はオーストラリア本土に上陸するサイクロンのコースとしてはきわめて珍しい人口密集地域を通る上に、速度が遅いことから、被害が激甚化し、かつ長引く危険があるのです。
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