投票日は5月3日、10日、17日の3つに絞られた! オーストラリア連邦選挙

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サイクロン「アルフレッド」で政治日程にズレ

 オーストラリア連邦与党労働党のアンソニー・アルバニージー首相は、西オーストラリア州選挙での労働党政権勝利を追い風に、近日中に連邦選挙の早期実施を発表する−−。そんなシナリオがこれまでは有力視されていた。ところが、サイクロン「アルフレッド」がクイーンズランド州南東部に接近、上陸したことで、政治日程にズレが生じている。

 アルバニージー首相はサイクロン上陸前夜の7日、公共放送ABCテレビの時事番組「セブン・サーティ」に出演し。「今は政治に目を向ける時ではない」と述べた。その上で首相は「私が専念しているのは、選挙実施を発表することではなく、困っている国民に寄り添うことだ」と災害対応を最優先する考えを示した。

 この週末までの時点で、投票日は4月12日、19日、26日、5月3日、10日、17日の6つの土曜日に絞られていたが、首相のコメントによって「3月10日選挙実施発表(公示)、4月12日投票」の線は消えた。規定上、選挙運動期間は公示から最低33日間必要であるため、間に合わなくなるためだ。

 4月12日投票のシナリオが消えたことで、4月中に選挙が実施される可能性もほぼなくなった。4月19日はイースター(感謝祭)4連休の2日目、4月26日は戦没者を追悼する祝日「アンザック・デイ」に当たるため、可能性はゼロではないものの現実的ではないからだ。

 なお、4月中に投票が実施される場合、2025-26年度(25年7月1日〜26年6月30日)予算案の発表(3月25日)は選挙戦と重なるため、ABCによると経済報告書または「ミニ予算案」の形で簡略化する案が検討されていた。しかし、4月中の選挙がなくなったことで、政府は「フル予算案」を予定通り3月25日に発表するという。

 これらの日程から、投票日の選択肢は5月3日、10日、最終期限17日の3つに絞られた。ただ、解散を遅らせれば日本の首相が求心力を失うのと同じで、オーストラリアでも選挙実施を期限のギリギリまで引っ張れば、政権は「レームダック」(死に体)に陥る。

 今回の選挙では、与野党のどちらが勝利しても過半数に達せず、少数政権となる可能性が高まっている。アルバニージー首相はますます追い込まれていくのか。起死回生に向けて残された時間はもうあまりない。

■ソース

Anthony Albanese rules out April election, with federal budget set for later this month(ABC News)

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