8日は株価反発 楽観は時期尚早か

いわゆる「トランプ関税」の影響で、死屍累累の地獄絵図が広がる株式市場。だが、いつかは相場が下げ止まり、絶好の買い場がやってくる。リーマン・ショックやコロナ・ショックといった過去の暴落局面で株を買って大儲けした投資家は、虎視眈々とチャンスを狙っている。
オーストラリア証券取引所(ASX)の主要株価指数「S&P/ASX200」は週明け7日、貿易戦争の拡大による世界的な景気後退懸念が増幅し、終値は7,343.30と4.23%急落した。新型コロナ感染拡大初期の2020年3月27日(5.3%下落)以来5年ぶりの下げ幅を記録し、1日で約1,120億豪ドル(約10兆円)の時価総額が泡と消えた。
2月14日に記録した史上最高値から7日までの下落幅は14.2%に達した。ベア・マーケット(弱気相場=直近の高値から20%以上の下落)入りも視野に入った。
ところが、「血の風呂」(全国紙「オーストラリアン」)といった悲壮な見出しが踊った翌8日、S&P/ASX200は一転して3取引日ぶりに反発。終値は7,510.00と166.70ポイント(2.27%)の急上昇を記録した。11ある全セクターで全面高の展開となった。個別株では、ウラン大手のボス・エナジー(10.00%上昇)や、バイオ薬品のメソブラスト(8.98%上昇)などが買われた。
「死んだネコが跳ねた」だけかも
8日の反発は一時的で、今後も相場は下がり続けるのか、それとも悪材料が出尽くして上昇に転じるのか?英語の相場格言には「Buy when there’s blood in the streets」(街中に血が溢れている時こそ買いだ)、「Stocks climb a wall of worry」(株は悲観の壁を登っていく)など、市場が最悪の時こそ買い向かっていくべきだとの教えもあるが…。
専門家の見方はまだ否定的なようだ。シンクタンク「オーストラリア・インスティテュート」のグレッグ・ジェリコ首席エコノミストは8日、公共放送ABCのニュース番組で次のように述べた。
「投資家やエコノミストは、トランプ大統領がより広範囲により高い関税を中国に課すことを懸念している。世界経済に起こった大きな変化を誰もが心配している。特にオーストラリアの中国との(貿易)関係を考えれば、きわめて悲惨な状況にある」
金融大手マッコーリー・グループのマシュー・ブルックス株式ストラテジストも8日付の全国紙「オーストラリアン」に「(想定よりも)高いトランプ関税が発動することによって、株式市場が弱気相場入りする可能性はさらに高まったと考えている」と指摘した。
当面は、トランプ大統領の一挙手一投足で相場が乱高下するジェットコースターのような展開が続くだろう。8日の反発は「Dead cat bounce」(死んだネコが跳ねた=「死んだネコでも高いところから落とせば跳ね返る」という急落局面での一時的な小幅な回復を表す格言)なのか。
後になってみないと誰にも分からないが、今のところは「Don’t grab a falling knife」(落ちてくるナイフは掴むな=「急落時に相場が底を打つ前に株を買うと痛い目に合う」ことを表す格言)との教えを守るのが無難かもしれない。
■ソース
S&P/ASX 200 (AXJO) Historical Data(Investing.com)
Bloodbath at ASX as investors smashed(The Australian)