オーストラリアにもロシアの脅威!? ダーウィンが狙われる理由とは

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ロシア空軍機インドネシア駐留の報道

 ロシアが空軍機の駐留をインドネシアに要請したとの報道が、隣国オーストラリアを揺るがしている。駐留候補地として名前が上がったインドネシア東部マヌフア空軍基地からオーストラリア北部ダーウィンまで、直線距離で南西へ1,400キロしか離れていない。

 ダーウィンは人口約15万人と小規模な地方都市だが、オーストラリアだけではなく同盟国米国の世界戦略にとって、伝統的に重要な軍事的要衝となっている。旧日本軍が第二次世界大戦で繰り返しダーウィンを空爆したのも、オーストラリア占領の意図はなく、連合軍の兵站を分断する狙いがあったとされる。

 2015年には、中国政府系企業が北部準州政府からダーウィン港の99年間のリース権を獲得。以来、安全保障上の懸念がくすぶり続けている。5月3日投票の連邦選挙では、与党労働党(中道左派)と最大野党・保守連合(中道右派)の双方が、リース契約の撤回を公約している。

 報道によると、駐留が想定されるのはロシア軍の長距離戦略爆撃機「ツポレフ95」(Tu-95)。航続距離は1万5,000キロとされる。ダーウィンのみならず、4,000キロ離れたオーストラリア東部の最大都市シドニーも空中給油なしで往復できる。

 報道が事実で、仮に駐留が実現した場合、オーストラリアにとっては重大な軍事的脅威となる。

 一方、インドネシアは東南アジア諸国連合(ASEAN)で最大の人口約2億8,500万人を有する地域の盟主。安保・外交政策では独自路線を歩み、オーストラリアや米国とは一定の距離を置く。米英豪の安保枠組み「オーカス」(AUKUS)のオーストラリアへの原潜配備計画をめぐっては、インド太平洋地域の軍拡を加速させるなどとして、懸念を表明した経緯がある。

 ロシアも参加する新興国10カ国「ブリックス」(BRICS)の一角を占め、ロシアによるウクライナ侵攻に対しては中立的な立場。昨年就任したプラボウォ・スビアント大統領は、ロシアとの安保関係の強化も進めている。

■ソース

Indonesia mulls options after Russia seeks access to air force base(Janes)

Russia’s base instinct: shadow of Putin hangs over election campaign(The Australian)

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