オーストラリアで留学を目指す人にとって、学生ビザ(Subclass 500)申請のための英語力証明は欠かせない条件の1つです。
そして、2025年8月8日より、移民局(Department of Home Affairs)は英語試験に関するルールを更新し、新しい要件を施行しました。今回の変更の背景として、移民局は「ビザ制度の健全性と一貫性を確保するため」と説明しており、近年指摘されていた、在宅型試験を不正利用する問題対策への一環とされています。
在宅型テストは廃止
今回の改正で最も重要なポイントの1つは、オンラインや在宅で受験する形式の英語試験が一切認められなくなったことです。
例えば、以下のような「自宅受験型」の試験は2025年8月7日以降のビザ申請には使えません。
・IELTS Online
・TOEFL iBT Home Edition
・CELPIP Online
・MET Digital
・OET@Home
・LanguageCert Online
今後有効な英語試験の一覧
今後は、以下の英語試験がビザ申請で有効となります。
IELTS(アカデミックまたはジェネラル・トレーニング)
PTE Academic
TOEFL iBT
Cambridge C1 Advanced (CAE)
CELPIP General
OET(医療従事者向け)
LanguageCert Academic
MET(Michigan English Test)
IELTSの「One Skill Retake(1科目のみ再受験)」も条件付きで認められます。
以前に受験した英語試験結果
25年8月7日以前に有効なテスト形式で受験している場合は、引き続きビザ申請に有効です(学生ビザ申請の場合には2年)。ただし、在宅試験形式で受験したもの(例:TOEFL Home Editionなど)は、たとえ有効期限内でも無効となります。
学生ビザ(Subclass 500)申請における必要スコア
24年3月に導入された英語テストにおけるスコア基準の引き上げは、今回の改正には含まれておらず、スコア自体に新たな変更はありません。
現在の要件は以下の通りです。
学習プラン | 必要なIELTSスコア(または同等) |
---|---|
メイン・コースへ直接入学 | 6.0以上 |
10週間のELICOS(英語コース) | 5.5以上 |
20週間のELICOSあり | 5.0以上 |
他の英語試験についても、それぞれIELTSのスコアに相当する基準が設定されています。
パスウェイ・プログラム経由の学生は?
一部の学生は、大学進学準備課程やファウンデーション・コース(Pathway Program)を通して入学します。
これらのパスウェイ・プログラムに認定された教育機関を通じて入学する場合は、より低いスコアでもビザ要件を満たせる可能性があります。政府はこの認定プログラムのリストを25年に拡大しており、現在では160以上の教育機関が対象となっています。
今後の注意点
・英語試験は必ず認定センターでの対面試験を受ける。
・試験の形式と受験日が要件を満たしているか事前に確認する。
・以前に受験したスコアを使いたい場合は、有効期間と試験形式を再チェックする。
・進学先がパスウェイ・プログラムに該当するかを確認する。
既に受けた英語テストの有効性、英語要件やビザ申請手続きについて不安がある人は、専門家に相談することを強くお勧めします。
アドバイザー

清水 英樹
オーストラリアQLD州弁護士。在豪30年以上。地元大学卒業後、弁護士資格を取得。フェニックス・グループCEOとして傘下にあたる「フェニックス法律事務所」、ビザ移民コンサルティング「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故ならびに労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営
