
10月17日、クイーンズランド大学でシンポジウム「Nikkei: Japanese Community in the Past and Present」が開催された。同イベントは、クイーンズランド大学名誉シニア・フェローの永田由利子博士と関西学院大学長友淳教授の協力のもと、日系コミュニティーの歴史と現代の暮らしについて理解を深めることを目的として企画された。
冒頭で、主催者の長友教授が両大学のダブル・ディグリー・プログラムなどのパートナーシップの深さや講演者紹介を行った後、永田博士による豪州の日系コミュニティーの歴史や戦時中の強制収容に関する解説が行われまた。

続いて日系4世のスティーブ・ドーソン(Steve Dawson)氏が、曲芸師として活動した先祖の歩みと、差別の中で揺れた家族の歴史を紹介。日系3世でアーティストのエリシャ・レイ(Elysha Rei)氏(Nikkei Australia代表)は、戦争花嫁である祖母の戦後移住の経験や、創作を通じたルーツとの向き合い方について講演した。

シンポジウムの後半は、登壇者と参加者が日系社会についてディスカッションを行い、日系コミュニティーの歴史や今日のアイデンティティーをめぐる状況について理解を深める時間となった。
今回の企画は、研究旅行でクイーンズランド大学を訪問した関西学院大学長友ゼミの学生が中心となって運営され、英語での司会も務めた。運営に携わった学生は、「参加者が日系の歴史に関する学びを深めるだけにとどまらず、当事者の語りを通して、異国の地で日系として歩んできた人びとの思いを知る貴重な機会となりました」と話す。