【インタビュー】「経済成長と環境保全の両輪で水素産業の育成を支援したい」 福岡県商工部自動車・水素産業振興課 高田史郎・企画監

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①「アジア太平洋水素サミット&展示会」出展者に聞く

左から、福岡県商工部自動車・水素産業振興課の高田史郎・企画監、山下道寛・企画主査、三笠のぞみ・事務主査(Photo: 守屋太郎)

 水素エネルギー社会に資する取り組みやイノベーションについて、「アジア太平洋水素サミット&展示会」に出展した福岡県の産官学の関係者に話を聞いた。(聞き手:ジャーナリスト・守屋太郎)

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守屋:福岡県が水素エネルギーに注力するようになったきっかけは?

高田氏:福岡県は麻生渡元知事(在任期間1995〜2011年)の下で、主な地場産業だった石炭に代わる新しいクリーンなエネルギーとして水素に着目し、約20年前に水素の協議会を立ち上げました。「官」だけではなく「学」の九州大学、「産」の民間企業と連携して、産官学が一体となって取り組んできた歴史があります。

 様々な施設や研究機関が集積し、長年、実証を重ねてきましたが、現在は実証から産業化へのフェーズへと移行しています。さらなる産業化に向けて、水素関連企業の事業拡大を支援しています。

 福岡県は2023年にニューサウスウェールズ(NSW)州政府と覚書(MOU)を結び、水素を「作る側」であるオーストラリアと「使う側」の福岡県との間で、地域間交流を深めています。今回、4社と九州大学と連携して、展示会出展に至りました。

守屋:水素の社会実装をめぐっては課題もあります。今後の展望は?

高田氏:やはり道を進めば進むほど課題は出てきます。私たちが今、一番力を入れたいと考えているのが、大型トラックやバスなど大型車両に対応した水素ステーションの県内への設置です。

守屋:大型トラックは、水素で走る燃料電池車に適しています。バッテリー電気自動車(BEV)は二次電池が重くなるため、大型車両への導入は難しいですね。

高田氏: OEM(相手先ブランド製造委託)メーカー、水素ステーションの運用企業、運送業界といったプレイヤーと調整を重ねながら、市場を創っていきたい。県内企業には事業を大きく拡大するチャンスがありますので、クリーンな水素を使った産業育成支援を今後も継続していきます。

 経済と環境のどちらかが良くなって、どちらかが悪くなるということではありません。経済成長と環境保全という車の両輪を回していく。行政が先陣を切って、皆さんに新しいビジネスを生み出していただければと考えています。

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