中央銀行の豪準備銀(RBA)は3日、政策金利を0.25ポイント引き上げて3.85%とし、大方の予想通り利上げに踏み切った。昨年来の利下げ=金融緩和から、利上げ=金融引き締めへと政策を転換した。オーストラリアに住む私たちの暮らしへの影響について、Q&A形式でまとめた。(文・構成:守屋太郎)

Q:利上げで住宅ローン返済額はいくら増えるの?
A:RBAは年8回、金融政策を決める会合を行います。ここで政策金利の引き上げや引き下げを決めれば、多くの場合、主な金融機関がこれに追従して貸し出し金利を上げたり下げたりします。
今回の政策金利の引き上げ幅は0.25ポイント。主要金融機関が住宅ローン金利をこれに連動して引き上げた場合、債務者の負担は毎月どれくらい増えるのでしょうか。
金融商品の比較サイト「キャンスター」の試算を見てみましょう。これによると、仮に「残金60万豪ドルで、残りの支払い期間が25年間」の標準的な債務者のケースでは、金利が0.25ポイント上昇すれば、返済額は月々90豪ドル増えるといいます。現在の為替レートだと、日本円でだいたい1万円弱、出費が増えることになりますね。
Q:では、なぜ庶民を苦しませる利上げを行うの?
A:中央銀行の金融政策の目的は、物価の安定と雇用の最大化です。平時は金利の上げ下げによって、緊急時は量的緩和など「非伝統的手法」によって、景気を過熱させることなくインフレを目標(オーストラリアは2〜3%)内に抑え、同時に「完全雇用」の実現を使命としています。完全雇用とは、働く意欲と能力のある人が全員、仕事に就いている状態のことを指します。
足元のオーストラリア経済を見ると、このところ落ち着いていた物価上昇が、再び加速しています。直近2025年12月の消費者物価指数(CPI)は、前の年の同じ月と比べて3.8%上昇しました。お金の価値がインフレ率の分だけ目減りしたことを意味しますから、ざっくり言えば、1年前に100万円の現金が手元にあったとすれば、3万8,000円が溶けてなくなったことになります。
中銀としては、インフレが過熱すれば利上げによって抑制するのは当然です。低い金利を放置して物価上昇がコントロールできなくなれば、私たちの給料や貯蓄が目減りし、生活がどんどん苦しくなってしまうからです。
ただ、金融引き締めをやり過ぎれば、景気後退と失業率の上昇を招きかねません。中央銀行は、インフレ抑制と景気の下支えという一見、相反する要素を天秤にかけ、難しい舵取りを担っています。
RBAのミシェル・ブロック総裁は昨年12月の会見でこう述べていました。
「長期的視点で見れば、インフレ(のコントロール)と完全雇用という私たちの目標は、相互に補完的なものです。インフレを低く安定して抑えることは、力強く、持続可能な雇用の成長を可能にします」
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