有人月周回飛行、53年ぶり成功! アルテミス計画を影で支えるオーストラリアの技術とは?

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通信や宇宙船の追跡で貢献 将来の月面探査機も開発

 53年ぶりに有人の月周回飛行に成功した米航空宇宙局(NASA)「アルテミス2」の宇宙船「インテグリティー」(正式名:オリオン)が現地時間10日(豪時間11日)、米西海岸沖の太平洋上に着水し、4人の宇宙飛行士は無事、帰還を果たした。アポロ計画以来となる有人月着陸を目指し、将来の月基地建設や火星への有人飛行も視野に入れアルテミス計画。あまり知られていないが、オーストラリアの技術や施設も貢献している。(リサーチ・文:守屋太郎)

帰還から一夜明けた現地時間11日(豪時間12日)、米テキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センターに元気な姿を見せた4人の宇宙飛行士(Photo: NASA/John Kraus)

 地上との通信は、宇宙船が地球の影に入ると途絶える。そのため、米国から遠く離れた南半球に位置するオーストラリアは、1960年代のアポロ計画の時代から通信拠点の1つとして重要な役割を果たしてきた。

キャンベラの深宇宙通信所(Photo: CSIRO)

 オーストラリア連邦科学産業機構(CSIRO)がキャンベラで運営しているNASAの「深宇宙通信所」は、宇宙飛行士との連絡の送受信を担っている。世界に3カ所しかないアルテミス計画の通信施設の1つ。ほかには米カリフォルニア州とスペインのマドリッドにある。

パークス望遠鏡。アポロ11号の月面着陸の有名なテレビ映像を中継した(Photo: CSIRO)

 東部ニューサウスウェールズ州パークスにあるCSIROの巨大な電波望遠鏡も、宇宙船の位置を追跡する地上施設の1つとしてアルテミス計画を支えている。普段は、中性子星や高速電波バースト(短時間に発生する強力な電波の爆発現象)、遠い宇宙の銀河や星雲を観測しているが、地球に近い宙域の探査でも重要な役割を果たしている。

 パークス望遠鏡は、半世紀以上前のアポロ計画でも活躍した。アポロ11号による1969年の人類初の有人月面着陸の映像を受信、中継したことで知られている。今回のアルテミス2で有人宇宙飛行に携わったのは、アポロ17号(72年=同計画6度目で最後の有人月面着陸)以来、54年ぶりだった。

宇宙レーザー光線通信の機器(Photo: ANU)

 オーストラリア国立大学(ANU)は、アルテミス2でレーザー光線通信の実証実験に参加した。NASAによると、レーザー光線のデータ通信速度は、通常の電波と比べて最大100倍というメリットがある。宇宙船から高精細の動画や画像、高品質の音声や実験データを地上まで短時間で送れるという。

超小型月面探査機「ルーバー」。カンガルーの短縮語「ルー」をもじった名称は一般公募で選ばれた(Photo: Australian Space Agency)

 NASAが今後計画している月面探査でも、オーストラリアの技術が活躍しそうだ。例えば、オーストラリアの企業連合「ELO2」が開発した月面探査機「ルーバー」(Roo-ver)。スーツケースほどの大きさで重量20キロと小型だが、自律走行しながらさまざまな月面のデータを収集し、研究や宇宙開発に役立てる。商業用機器を月面に送るNASAの事業の一環で、2030年に月の南極に着陸する予定だ。

◼️ソース

Australia in the Artemis era(Australian Space Agency)

Keeping Artemis II connected: Australia’s role in historic lunar mission(CSIRO)

Statement on CSIRO’s role in supporting NASA’s Artemis II mission to the Moon(CSIRO)

ANU collaborating with NASA Glenn Research Center to utilise lasers to transmit data from deep space(Australian National University)

NASA, Australia Team Up for Artemis II Lunar Laser Communications Test(NASA)

Meet Roo-ver(Australian Space Agency)

Aussie Moon rover’s journey confirmed(Australian Space Agency)

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