日豪フットボール新時代「鬼門」第126回

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日豪フットボール新時代 第126回
鬼門

試合後、眼前の光景は昨年のデ・ジャブだった
試合後、眼前の光景は昨年のデ・ジャブだった

英語に“curse”という言葉がある。直訳すると「呪い」と言う意味。文脈的には日本語で言うところの「鬼門」と似通った意味でも使われる。

オリンピックFCは、ブリスベン有数の強豪で本コラムでも何度となく取り上げてきた。全豪のNPL日本人選手の中でも数少ないレジェンドと呼べる活躍を見せた伊藤和也(引退)が昨季まで所属していたクラブとして知られる。

その伊藤が抜けたオリンピックは今季、堅実無比な守備とは裏腹の得点力不足に悩み、レギュラー・シーズンは苦戦。それでも、全豪有数の有望若手監督であるベン・カーンの手腕もあって、リーグ最終盤に負けないフットボールを続け3位でファイナルに進出。ファイナル初戦ではブリスベン・ロアU23を破り、4年連続のグランド・ファイナル(GF)に勝ち進んだ。

今年も3年連続で、GFは中立地であるペリー・パークで行われた。その結果、オリンピックは長年のライバルである因縁のライオンズFCに、昨年のGFのリベンジならず1–3で敗れた。これで4年連続のGF敗退、3年連続のペリー・パークでの苦杯。試合後に会場で聞こえてきたのは、「4年連続、GFの呪いが解けない」とか、「ペリー・パークは鬼門だよ。これで3年連続」と言うオリンピック・ファンの呻きだった。試合後、日本にいる伊藤も「やっぱり、サッカーって分からないものです」とショックは隠せない様子。

その日の会場で、伊藤のいないオリンピックを客観的に観ようと努めた筆者の目の前で繰り広げられた光景は、まさに昨年のデ・ジャブ。うなだれ膝を抱えてピッチにへたり込むオリンピックの選手、十重二十重になって喜ぶライオンズの選手とスタッフの歓喜の輪。そこにいないのは、過去3回のGFで悔しさを堪えてチームメイトを慰めていた背番号8の伊藤の姿だけ。

かくして4度、オリンピックは鬼門の前に屈した。それでも、捲土重来(けんどちょうらい)のオリンピックは来季のNPLに戻ってくる──。今度こそは鬼門突破を心に誓って。

このコラムの著者

植松久隆(タカ植松)

植松久隆(タカ植松)

タカの呟き「最終予選、日本対ベトナム戦を観た。勝つには勝ったが、ため息しか出ない。アウェーで、ベトナム相手に最小得点での勝ち点3という状況は相当に問題だと思う。アウェーだし、決して楽ではない相手。でも、格下相手なら今後の得失差も考えてもう少し……とダメ出しし始めたら止まらなくなりそう」

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