ワンダフル・ライフ in AUS
オーストラリア首相と犬
1月20日に米国の大統領が入れ替わる。バイデン氏が大統領になると、ホワイトハウスにまたペットとしてファースト・ドッグの伝統が戻って来る!と、何ともほほ笑ましいニュースを見掛けるようになった。オーストラリアの歴代首相はどうか。こちらも犬好きが多い。
オーストラリアの首相には、住居としてザ・ロッジと呼ばれるキャンベラの公邸と、キリビリ・ハウスと呼ばれるシドニーの公邸が用意されている。現在のモリソン首相は主にこのシドニーのキリビリ・ハウスを利用し、スクヌードルと呼ばれる、ミニチュア・シュナウザーとプードルのミックスで、「バディ」という名前の黒い犬を飼っている。その愛らしい姿は、首相自身のSNSにも度々登場する。モリソン首相のSNSと言えば、家族が欲しがっていたからと、10月に電動ドリルを自ら抱えて鶏小屋を組み立てている様子がアップされ話題となった。鶏の名前には、ザ・ロッジに居住した歴代の首相夫人の名前が付けられており、この鶏小屋を「ロッジ・レディス」と名付けたそうだ。
前任の29代目にあたるマルコム・ターンブル首相は過去に「メリー」と「ジョジョ」という名のテリアを飼っており、犬目線で書いたブログ記事まで公開していたが、2014年にジョジョのことをSNSに掲載して以降、16年の選挙戦や首相就任後もペットについて触れなくなっている。13年にメリーが亡くなり(この時の追悼文が泣けると話題になった)、ジョジョもその姉妹であったことを考えると、ターンブル首相が公邸に居住するころには既に亡くなっていたのかもしれない。
28代目のトニー・アボット首相は「メイジー」という名のスプードル(コッカスパニエルとプードルのミックス)を飼っていた。首相の犬は、犬の過剰繁殖に反対するオスカーズ・ロー制定を推進する動物愛護団体に利用され、メイジーが運営するとされるSNSやビデオに登場し、首相をコケにして話題になったこともあった。
このコラムの著者
ランス陽子
フォトグラファー/ライター、博士(美術)。オーストラリアで古くから牧羊犬として愛されているボーダー・コリーのスパーキーとゴールドコーストで暮らす。現在はグリフィス大学で日本語のゴールドコースト方言とオーストラリア方言を研究中。
Web: http://www.yokolance.com.au