第3回 タスマニア巡り
東海岸の宝石、フレシネ国立公園
他州に比べ夏の到来が遅く、期間も短いタスマニア。真夏でも30度を超えるような日は数えるほどしかありません。それでも夏はやはり海を楽しみたいものですね。そこで今回は、海の国立公園、フレシネ国立公園をご紹介します。ホバートから車で約2時間、州東海岸の真ん中ほどに突き出るフレシネ半島の約半分を占める同地は、マウント・フィールドと共に1916年に州初の国立公園となりました。低地が続く半島ということもあり、海岸へのアクセスはもちろん、海岸線の景観も抜群。特に“ハザーズ”と呼ばれる花崗岩の岩山を超えた先のワイングラス・ベイは、クレイドル・マウンテンと並びタスマニアで最も人気のある景勝地となっています。
上から見るとワイン・グラスのように見える白砂のビーチは半島外側にあるため、展望台まで登らないと見ることができません。ただ、標高250メートルほどの整備されたなだらかな砂利道と階段なので、ゆっくり歩いて片道45分程度です。足に自信があればハザーズ最高峰のマウント・アモス(標高445メートル)に挑戦を。頂上から望めるワイングラス・ベイ、ハザーズ・ビーチ、そして半島全域の眺望は格別です。ただしほぼ未整備な上、クライミング要素もあり、難易度は各段に上がるので要注意。
まるでプライベート・ビーチの様なワイングラス・ベイ展望台からビーチまでの更に約30分の下り道は、勾配はきつめですが、数年前に整備され歩きやすくなりました。ビーチに広がる真っ白な砂浜、コバルト・ブルーの海、花崗岩に付く真っ赤な地衣類のトリコロールという景観は、まるで宝石箱のよう。海でのんびり過ごすのも良し、そのまま半島裏のハザード・ビーチを目指すサーキット・ウォークを回っても良しの海ならではの国立公園です。もちろん釣りやカヤック、ボート・クルーズを楽しむこともできます。
半島にはキャラバンやキャンプ・サイト、民泊から高級ホテルまで数多くの滞在方法が選べるのも良い点。訪れるならゆっくりと数日滞在して、タスマニアの夏を満喫して欲しいですね。
このコラムの著者
稲田 正人
タスマニアのツアー・ガイド/コーディネーター。タスマニア大学で動物学・環境学を学んだ後、のんびりゆったりした生活感に魅せられ、そのままタスマニアに在住。現在は現地旅行会社AJPR(Web:www.ajpr.com.au)に勤務する傍ら、多過ぎる趣味に追われる日々を満喫中