輝け!
ゴールドコーストの若きアスリートたち
第6回
ベースボール
山口舞人(やまぐちまいと)くん
(17歳)
豊かな自然と晴天の多い温暖な気候、この恵まれた環境のクイーンズランド(QLD州)ゴールドコーストでスポーツに挑む若きアスリートたちを紹介。今回は、マジェラバ·レッドソックス·ベースボール·クラブ(Mudgeeraba Red Sox BC)に所属、QLDベースボール代表チームで全国優勝を目指す山口舞人くんを紹介する。(文=堀千佐子)
勝ちを引き寄せるパフォーマンスは、プレーを楽しむ環境があってこそ生まれる
――自己紹介とオーストラリアで野球を始めたきっかけを聞かせてください。
2003年10月2日生まれ、サマセット·カレッジに通う12年生の17歳です。小学2年生の時にゴールドコーストへ来て、今年で在豪生活11年目を迎えます。来て間もないころ、日本人の友達に誘わて、地元の子ども野球教室に入ったのが始まりです。
4年生の時に、マジェラバ·レッドソックスBCにトライアウトを受けて入り、現在に至ります。15年U12から毎年QLDジュニア·チャンピオンシップで優勝して、全国大会へ進んでいます。昨年、ゴールドコースト·ベースボール協会から打率0.692でバッティング·アワードをもらいました。
――数あるチーム·スポーツの中でも、野球だけが持つ面白さは何でしょう?
9人でプレーする野球は、必ず全員に打順が回り、投手との1対1の勝負に挑みます。そして、投手は打者が打てる所に球を投げない限りストライクは取れません。チーム·スポーツでありながら、1対1の駆け引きがある個人スポーツの要素を持つのは野球だけの魅力です。
また、表と裏という均等な攻守交替をするのも野球だけの特徴です。3回アウトを取れば、次の回には新しい攻撃と守備を始めることができるので、大どんでん返しのゲーム展開になるワクワクする面白さがあります。
――チームの中での自分の強みは?
右投げの左右両打ちができるスイッチ·ヒッターであること。左右どの投手が来ても対応できる上、右打ちで左打席に入れば、足を生かして1塁に出る確率も上がります。
そして、今までにピッチャーやキャッチャーも含め全ポジションを経験してきたおかげで、守備にも自信があります。中でも一番好きなポジションは、守備範囲が広く、打球処理能力と正確な投球力が必要とされるショートです。
――甲子園を目指し帰国する仲間も多い中、ここで野球を続けて良かったと感じることは?
ゴールドコーストにはクラブが7つあり、QLD州の中でも野球が強くて盛んなエリアだと言われていますが、日本へ帰国したり、強いクラブへ移っていく仲間を何人も見送ってきました。その中で、8年間同じクラブで続けてきたのは、「勝敗にこだわらず、楽しんでプレーすることが成績につながる」というクラブの信念の下で、プレッシャーやストレスを感じることなく、思う存分楽しめる環境で野球ができたからだと思います。チーム·メイトと時間を共有できる練習や試合は、いかなるドラマがあっても常に楽しく充実していて、結果的に良いパフォーマンスを生んできたと実感しています。
その他、日本のオフ·シーズンに自主トレーニングでゴールドコーストへ来る日本のプロ野球選手から、個人的にレッスンをしてもらったことも貴重な経験でした。現在、ここにいるおかげで、新型コロナウイルスの影響を多少受けながらも、通常の練習ができて、試合も開催されていることにとても感謝しています。
――野球シーズン真っ只中ですが、直近の試合について教えてください。
QLDU18代表チームでのステート·トーナメントが終了しました。残念ながら、州を越えての移動が困難なため、全国大会は実現しませんでした。これから、QLDスクール·スポーツ·ステート·チャンピオンシップ選抜トーナメントが始まりますが、打率3割キープ、エラーなし、優勝の3つが目標です。高校最後の年なので、気合を入れつつも楽しみたいです。
母、まり子さんからのメッセージ
来豪してこの10年間、野球ユニフォームの洗濯と用具の準備に始終追われる毎日でした。いまだスポーツ根性論の根強い日本の野球イメージとは全く異なる環境で、野球の面白さやチーム·スポーツの楽しさを十分に味わいながらプレーできたことは、彼にとって本当にラッキーだったと思います。これからもチームの中で切磋琢磨しながらも心身共に成長していって欲しいと願っています。