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VDT症候群ーさまざまな不定愁訴は「首」から来ていた!

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フィジオセラピストに聞こう 体の痛み改善法 第108回
さまざまな不定愁訴は「首」から来ていた!ーVDT症候群

 VDTは「ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル」の略で、パソコンやスマホのスクリーンを指します。そしてVDT症候群は、パソコンやスマホを長時間使用することが原因で起こるさまざまな不定愁訴のことを言います。

 症状は実に多岐にわたり、眼精疲労、ドライアイ、かすみ目、肩や首のこりや痛み、頭痛、めまい、腰痛、イライラ、不安や抑うつ状態、集中力低下などといった症状があります。

 VDT症候群のさまざまな症状は、フィジオセラピストとして患者さんと関わる私の場合は、肩や首のこりや痛み、頭痛が多いです。

 一方、患者さんの中には、これらの症状は別件だと考え、特にドライアイなど眼精症状があっても最初の問診ではおっしゃらない方もいます。

 また、先に挙げたさまざまな症状に対する各種検査を受けたが特に異常が見つからず、診断が付かないため効果的な治療がいまだ開始できていないという方も多くいます。

 このように精密検査を受けても特に異常や原因が見つからず、しかし症状が続いている場合は、VDT症候群の可能性があります。

 VDT症候群のさまざまな症状は、首の筋肉疲労や頸椎(けいつい)関節の負荷過多により、脳の一部が過敏になってしまうことで、自律神経のバランスが崩れてしまうことが原因と考えられます。

 長時間にわたるうつむき姿勢でのパソコンやスマホの作業の習慣化によって、首を支える筋肉が常に疲労している状態になっているため、首の疲労と負荷を取り除いてやることが大切です。

 頸椎はその人の癖によって前後左右、それらの組み合わせにより一定方向に歪んでいることが多々あります。

 当院では頸椎を真っすぐな位置に戻すことで脳の過敏な状態を整えることに主眼をおいて治療を進めます。

 また、その圧迫や痛みが体や脳に記憶として染み込んでいるので、一定の期間を設けてその習慣を改善し、正しい姿勢を体に覚え込ませ、脳が正しく情報処理ができるように信号の経路である頸椎を整えることで再発のない根治に近づけます。

 今年になっても在宅勤務が続いている方も多いことでしょう。自宅からのパソコン業務中は姿勢に十分気を付けて、30分に1度は立ち上がるように意識してみてください。

 VDT症候群かなっと思われたら、すぐに治療を開始されるといいでしょう。

セラピスト紹介

奥谷 匡弘(ただひろ)

奥谷 匡弘(ただひろ)

オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。セント・ヴィンセント病院で勤務後、自身のクリニックでプロ・スポーツ選手や財界の著名人の治療に多く携わる。特に顎関節症や頭痛治療に造詣が深く、セミナー講師も務める。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au/

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