ワンダフル・ライフ in AUS
グレイン・フリーのドッグ・フード
近頃、「グレイン・フリー」と書かれたドッグ・フードを多く目にするようになった。もともと犬は雑食だが、肉の量を減らし穀物量を増やした粗悪なドッグ・フードが問題となり、世界的にもグレイン・フリーのドッグ・フードを購入するペット・オーナーが増えているようだ。
通常、ドッグ・フードには小麦、大麦、トウモロコシ、米などの穀物が含まれるが、グレイン・フリー製品にはこの穀物が含まれない。だがグレイン・フリーだからといって炭水化物が全く含まれない訳ではない。穀類の代わりに芋類や豆類が使用されるだけだ。原材料として安価な穀類を使用しないこれらグレイン・フリー商品は、必然的に価格が少し上がる傾向にある。
だが穀物は、本当に犬にとって有害な食べ物なのだろうか。実は、穀物が犬にとって有害だという科学的な証拠はあまりない。もちろん、犬によっては穀物にアレルギー反応を起こすケースもあるし、皮膚や胃腸に問題のある犬の場合は、ペット・フードをグレイン・フリーにすることで症状が改善することもあるようだ。だが、ほとんどの犬にとって、ビタミンやミネラル、植物繊維などが含まれている穀物はとても有益な食べ物だ、と発言する獣医師は多い。更にグレイン・フリーのペット・フードには心臓病との関連が疑われるとして、米国食品医薬品局(FDA)が現在調査中だ。
ただ、グレイン・フリーをうたうドッグ・フードは、価格が少し高くなっても質の良いドッグ・フードを購入したいという消費者をターゲットにしているため、原材料の質やプロテインの含有量などにも気を配った製品が多いのは確かだ。グレイン・フリーである必要はなくても、結果的にグレイン・フリー製品を選んでいれば粗悪なドッグ・フードに当たる確率は低くなるかもしれない。だが穀類の有無よりも、ドッグ・フード選びにはプロテイン(タンパク質)の含有量は何%か、原材料は全て豪州やNZ産かどうかを吟味することの方が大切なようだ。
このコラムの著者
ランス陽子
フォトグラファー/ライター、博士(美術)。オーストラリアで古くから牧羊犬として愛されているボーダー・コリーのスパーキーとゴールドコーストで暮らす。現在はグリフィス大学で日本語のゴールドコースト方言とオーストラリア方言を研究中。
Web: http://www.yokolance.com.au