オーストラリア不動産の現状
不動産価格上昇にまつわる背景
国際的に見て感染症対策が早急に奏功した豪州では不動産価格が上昇気流を迎えています。法定金利の下落、継続中のファースト・ホーム・バイヤーへの優遇政策など、購入者を勇気付ける要素も多く、銀行融資の相談や弁護士/コンベヤンサーへの手続き依頼が急増しています。
豪州政府は、リーマン・ショックの際に不動産購入者への補助金提供によって不動産市場を活性化させ、経済の減速を防いだ実績があり、国家の経済を左右する要因の一つとして不動産産業に着目している点は興味深いものです。
大手銀行などによる不動産価格上昇の推測が現実化するかどうかは、感染症の収束と関係するため予測が簡単ではありませんが、明らかに豪州の不動産市場は上向きです。
地域や物件による不動産動向と差異の発生
しかし、実際には豪州各地の不動産市場の動向は同一ではなく、また、不動産の形態によっても大差があります。
大都市ではコロナ禍の影響で、アパートの家賃の下落や査定割れ、収入減から資金繰りに行き詰まり、物件のリマーケットなどが起こったり、値引きや特典付きの物件も出たりしました。また、リモート・ワークの影響により地方の物件地価が上昇する傾向も見られます。
居住需要が高い地域と比較的人の移動がないエリアとでも差があります。例えば海外からの移住者がほとんどない現在でも、他州からの人口流入が目覚ましい地域もあります。同じ州にあってもサバ―ブ次第で、事情が違います。
ゴールドコーストの台頭
昨今、活況が目立つ都市がゴールドコーストです。リーマン・ショック時には海外観光客が減り、経済状況が不振な時期がありましたが、現在は国内旅行客と移住希望者でにぎわうようになりました。更にGラインという公共交通機関が人びとの暮らしを活性化させ、ブリスベンからの鉄道と結合することで周辺地域の人口増加と住宅開発を加速させました。
また国際スポーツ大会、コモンウェルス・ゲームの成功という実績を残した経緯を経て、2032年のブリスベン五輪開催も濃厚になり、現地では明るいムードが広がっています。
住居の急激な需要によって販売スピードが速まり、賃貸空室率も下がっています。今後の経済復興と豪州の不動産市場の牽引にもつながる、明るい兆しの「サンシャイン・ステート」クイーンズランド州は、目が離せません。
このコラムの著者
鶴美枝
グローバル・インテリジェンス・マネージメント代表。創業2010年以来、豪州各地の優良不動産を厳選し、豪州及び日本在住のホーム・オーナー若しくは投資家の方々の購入をサポートし資産増幅、理想の住まいの確保に日々尽力中。日本と豪州にて法学部大学院卒業。豪州不動産フルライセンス保持