第1回
ブリスベンのアイコンたり得るや……!?
Story Bridge
Text: タカ植松 Photo: Nino Lo Giudice
シドニーならオペラ・ハウスとハーバー・ブリッジ、東京には東京タワーというように、世界的都市にはその都市のアイコンとも言うべき建造物があるものだ。でも、ブリスベンにはそれがない。「世界的都市じゃないよね」との鋭い突っ込みはサラッと流すとしても、突然、2032年五輪最有力候補に躍り出た以上は、今後、徐々に世界の注目は高まるはず。そこで、やはりこの都市のアイコンが必要だとなれば、今回の主役にそのお鉢が回ってくる可能性は大。でもこの橋、いかんせんキャラが弱い。
そもそも、“ストーリー”という名とは裏腹に、この橋に関する素敵なエピソードがある訳でもない。橋を設計した技師が、あのハーバー・ブリッジを設計したのと同人物で、言うなれば2つの橋は“姉妹橋”であることが、ちょっとした小ネタとしてある程度だ。そんな橋をどう真のアイコンに育てていくのか――。
それでも、リバー・シティの異名を持つブリスベンの夜景をこの橋の上を走る車窓から眺めると、これが何とも美しい。ただ、中央分離帯のない橋の上での脇見運転は危険極まりないので、ハンドルを握りながらだとじっくりと眺められないのが問題。橋の袂に車を停めて、夜景を楽しみつつ歩いて渡るのがいい……って薦めておきながら、当の本人はかれこれ20年近く、それを実現できずにいるのだが。
今月から属性も文体も見た目も全く異にする2人が、交互に1枚の写真に少々の文章を添えてブリスベン周辺を切り取っていく。お楽しみに。