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旅の極意/花のある生活

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花のある生活 第37回
─ flower in life ─

旅の極意

根を含む、木の構成で骨格を組み立てました。大股で軽やかな足並みと膨らんだ胸元を意識していけています
根を含む、木の構成で骨格を組み立てました。大股で軽やかな足並みと膨らんだ胸元を意識していけています

 旅を計画することは、好奇心をスーツケースに詰めるようなもの。いつもの場所へいつものように行かれる方が多いかもしれませんが、私はできることなら、初めての土地を訪ねて行くのが好みです。ガイドブックを参考に旅の行程を考えて、その通りに巡って行くことも達成感がありますが、何となく惹かれる場所に足を向けるのも、ちょっとした冒険のようでいいなと思っています。

 旅の支度も醍醐味の1つ。鞄に荷物を詰めることも至福の時間です。現地の気候に合わせて服を選んだり、準備の段階から私の旅は始まっています。心踊る気持ちで満タンになったスーツケースを引き、向かった旅先では予期せぬハプニングに遭うこともしばしばです。進む方向を違(たが)え呆気に取られてしばらく意気消沈したとしても、そこにはまた違った通りがあって、新たな場所で、新たな人との出会いがあるように思います。自分を満たしてくれるさまざまな発見はとても面白く、それは私の旅の極意とも言えます。

 新しいものを見つけることは、クリエイティブにいけばなの作品を作っていくことに似ています。表現するものは自由な発想があっていいと考えています。日々の生活でも昨日とは違う今日があって、また明日を迎えられる喜びは、人生の極意であるかもしれません。

 今月の作品はゴールドに塗った木が歩いているようにネジで留め合わせています。金箔を貼ったハランの葉を羽織りのように纏(まと)わせることにより、胸を膨らませて旅に向かう期待いっぱいの気持ちで、鞄を引く姿になぞらえています。新しい場所に出掛け、未知のものを見聞したり発見した時の驚きや感動できる気持ちを大切に、毎日の生活を過ごせていけたらいいですね。

このコラムの著者

Yoshimi

Yoshimi

いけばな講師。幼少期より草月流を学ぶ。シンガポールでの華道活動を経て、現在はシドニーでいけばな文化芸術の発展に務める。令和元年には世界遺産オペラ・ハウスで日本伝統芸能祭に出演。華道教室を主宰。オンライン・レッスン開催中。
Web: 7elements.me

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