脇道 ── Side Streets of Sydney
Through the Camera Lens of Nao Ashidachi
写真家・足達奈穂が切り取るシドニーの風景、そして込められた思いをつづる
地下の暗がりに映える鮮やかな黄色。
シドニーのダブルデッカーの黄色い電車がとても好きだった。
扉の奥にはカメラを首からぶら下げている友人の姿。
手を振ると友人の前に立つ、見知らぬ青年が手を振り返してくれた。
扉が閉まる寸前だったが手を振られているのが自分じゃないと気付いたよう。
恥ずかしそうにしていて何だか申し訳ない気持ちに。
なんとも言えない空気感もそのまま写り込んだお気に入りの1枚だ。
去り際の笑顔には「また会おうね」という願いが詰まっている。
ありがとう、シドニー。
また会おうね。
※シドニーの写真は今回がラスト。次号より東京編がスタートします。
このコラムの著者
足達奈穂 Nao Ashidachi
ドイツ生まれ。幼少時代の多くを海外で過ごし、結婚後は夫の海外赴任に伴い2018年から21年初頭までシドニーに在住。14年ごろから東京のストリート・スナップを撮り始め、写真家デビュー。東京の街を舞台にした写真集『boys in tokyo sentimental』を刊行中。現在、東京メトロ×AND STORYの地下鉄車内用広告写真を手掛けている。
WEB: www.naoashidachi.com