トミヲが掘る!宝石大陸オーストラリア
QLD Quilpie – Boulder Opal
キルピーのボルダー・オパール
豪州といえばオパール。蛋白石(たんぱくせき)とも呼ばれる10月の誕生石は、遊色効果を有する物をプレシャス・オパール、そうでない物はコモン・オパールと呼び区別される。市場に出回る90%以上が豪州産で、SA州クーパー・ピディは主にホワイト・オパール、NSW州ライトニング・リッジはブラック・オパールの産地として知られる。ボルダー・オパールの産地としては、QLD州のウィントン、オパールトン、そして今回訪ねたキルピー(Quilpie)が有名だ。そして、何を隠そうオパールの産地には温泉が湧く所が多く、オパール探しが温泉巡りともなるのもうれしい。
キルピーはブリスベンから西に約1000キロの小さな町で、町の至る所にオパールの店が溢れる「オパール処」だ。
まずは町外れの採掘場でオパール探し。そこは地元の採掘者が掘り出したボルダー(鉄鋼石)を投棄する場所。投棄されたとは言え、よく目を凝らすと遊色効果のあるオパールがゴロゴロとある。オパールは磨いてみるまでどれほどの色が隠れているかは分からない。だから怪しい石は手当たり次第にハンマーで割って確認するのが鉄則だ。
次の狙いはそこから南に走ること約1時間のダック・クリーク、シープ・ステーション・クリークの両採掘場。そこでは実際に地面を掘り探すが、過酷な気候にさらされたアウトバックの大地は驚くほど硬い。まずは採掘場をとにかく歩き回り、点在する約2メートルの深さの穴や掘り出された土の山をしらみつぶしに捜索する。
オパールが出る場所では結晶化した石膏(せっこう)がよく見つかるので、石膏を多く含む土の山を探すのが一番の近道だ。そして探索開始後、約1時間あまりでキラキラと光る山を発見。石膏だ。
そこに狙いを定めて掘り始めると、結晶化した石膏がどんどん出てくる。「オパールさんよ、そろそろ姿を出して」。そう語り掛けながら諦めずに掘り続けていた時、何気なく手にした鉄鋼石をひっくり返すと、そこにオパールが虹色に輝いているではないか。しかも鉄鋼石の下にまだまだオパールが隠れていそうな原石。これを皮切りに、良い物が出るわ出るわ……。もう雄叫びを上げずにはいられなかった。
夜、町のキャンプ場の温泉に浸かり、夕食を食べながら焚き火にオパールをかざす。太陽の下で見せるのとはまた違った輝きにうっとりとしながら、「今日もすてきな石に出合えて、俺は幸せだ」と独り言ちた。アウトバックの夜は、幸福感と充実感と共に静かに暮れていった。
このコラムの著者
文・写真 田口富雄
在豪24年。本職の不動産仲介業の傍ら暇を見つけては愛用のGoProを片手に豪州各地を掘り歩く、石と旅をこよなく愛するトレジャー・ハンター。その活動の様子は、公式YouTubeチャンネル(Web: youtube.com/user/gdaytomio)で楽しめる。現ゴールドコースト宝石細工クラブ理事長