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軽くて強い、鉄の花器/花のある生活

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花のある生活 第39回
─ flower in life ─

軽くて強い、鉄の花器

鉄花器で花をいけています。硝子や陶器と違い、倒れても簡単に壊れることがない優れものです。置掛両用です
鉄花器で花をいけています。硝子や陶器と違い、倒れても簡単に壊れることがない優れものです。置掛両用です

 鉄というと“重くて硬い”というイメージをお持ちかもしれません。しかし実際は“軽くて柔らかい”物もあり、私たちの生活には想像が付かないほど鉄からたくさんの恩恵を受けています。古くから暮らしに欠かせない金属として幅広く用いられ、現代も素材として進化し続けているようです。

 鉄の魅力は機能を果たす物だけにとどまらず、芸術の世界にも及んでいます。花をいける花器としても使うことができ、私が学ぶ流派では、斬新で表現の豊かな鉄花器が次々と誕生しています。切立(きったて)という筒型形状の物だけでなく、花器そのものが躍動感に溢れ、ユニークで独創的な物が多いのが特徴です。オーストラリア生息の動物、ワラビーのオスとメスのデザインもあります。

 アイテムそれぞれのネーミングもまた面白く、今月は、使用している鉄花器“宝箱”のネーミングにちなんで、花材をぜいたくに溢れんばかりにいけています。金銀財宝が箱から溢れてくるようでしょう(笑)。床に直接置いて使用できる以外に、今回は壁に掛けて掛花としていけています。これも軽い鉄花器ならではの使用方法ですね。真ん中には水を入れる空間がありますので、オブジェのようであり花器ですのでとてもおしゃれです。

 千変万化(せんぺんばんか)な鉄という素材が花器になることは、いけばな文化が始まったころには日常ではなかったことだと思います。最近の私のお花のお稽古で、身近にある素材でいける練習をさせて頂いています。カラー・ワイヤーを花留めにしたり、ペットボトルを熱で変形させてプラスチックを花器にしてみたり、自由自在に生徒たちと創造力を膨らませています。これからも時代に応じて自由に変化できる柔軟な発想を、いけばなにおいても大切にしていきたいと思います。

このコラムの著者

Yoshimi

Yoshimi

いけばな講師。幼少期より草月流を学ぶ。シンガポールでの華道活動を経て、現在はシドニーでいけばな文化芸術の発展に務める。令和元年には世界遺産オペラ・ハウスで日本伝統芸能祭に出演。華道教室を主宰。オンライン・レッスン開催中。
Web: 7elements.me

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