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へこたれない/福島先生の人生日々勉強

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福島先生の人生日々勉強
へこたれない

 人間は忘れやすい生き物です。私たちにとって覚えることは生きていくために大事なことですが、忘れることもそれと同じくらい重要な意味を持っています。例えば友人とけんかをしたとして、もし記憶がいつまでも正確であるとすれば、けんかをした時のネガティブな記憶はそのままとなり、友人との関係の修復は難しくなります。忘れることができるおかげで、その後の付き合いの中で記憶を書き換え、新しい関係を築くことができるのです。時が解決するというのは往々にして記憶の更新の成果です。

 しかし、そんなすばらしい力も、裏目に出てしまうと、初心が薄れてしまったり、大切な事をいつの間にか忘れてしまったりということになります。人の持つ力は大きなものです。大きいが故に成功し、失敗もします。大事なのは失敗しても諦めないこと。そして、失敗から学ぶこと。成功してもおごらないこと。そして、更に前へ進むにはどうすれば良いか考えること。失敗続きでも、へこたれずに工夫し、挑戦し続ければいつかきっと成功が訪れます。

 どこを目指すにせよ、達成するための修行は結局のところ自己との戦いです。戒律を守り、身を慎み、心を調(ととの)える日々の鍛錬は肉体的にも精神的にも厳しいものです。道を求める各個人の内面の心の強さが修行を続けていくのにいかに大切かということは、挑戦者の誰もが実感としてあるのではないでしょうか。生身の人間ですから、厳しい教えを受け、辛い練習を続ける中でつい手を抜いてしまったり、怠けてしまったりということは必ず出てきます。そこでどう自分を律するか、怠けたい心とそれを律する心、この2つの心の葛藤、この数多(あまた)の葛藤を乗り越えてこそ理想に近づいていけるのです。

 挫折を味わってもそこでくじけない。一からでもやり直す。一からでダメなら、ゼロからやり直す。とにかくへこたれないこと。同じやり方でダメなら、違う方法を考えてみること。目標が大き過ぎるなら、小さい目標を掲げてみる。どうにかして何としてでも前へ進むのです。

 目的を持ち、自らの意志で努力し続けることができるということは、人間の持っているすばらしい能力です。何かしてもしなくても時は過ぎ、この世界の諸々の事象は何もかも確実に移ろいゆきます。漫然と、あるいは悠々と時の流れに身を任せて生きていくというのも人の生き方の1つでしょう。しかし、何か目的や目標があるのなら、何かやりたいことがあるのなら、現実を見つめ、自己を見つめ、1つひとつ怠ることなく、着実に前へ進んで行きましょう。

このコラムの著者

教育専門家 福島 摂子

教育専門家 福島 摂子

教育相談及び、海外帰国子女指導を主に手掛ける。1992年に来豪。社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命とした私塾『福島塾』を開き、シドニーを中心に指導を行う。2005年より拠点を日本へ移し、広く国内外の教育指導を行い、オーストラリア在住者への情報提供やカウンセリング指導も継続中。

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